レセプトデータは経営判断に使える!?レセプト分析の基本を解説【クリニック向け】
毎月作成するレセプトには、様々な情報が含まれています。一方で、このレセプトデータを分析し、経営にうまく活用できているクリニックは多くはないのではないでしょうか。
本記事では、このような「宝の山」であるレセプトデータを経営にうまく活用できていない、という悩みを持っている方に向けて
- レセプトデータとは?
- レセプトデータ分析でできること
- レセプトデータの分析の方法
を解説して行きたいと思います。
データで裏付けができることで、適切な選択ができることで無駄なコストを削減したり、そのエビデンスは?と聞かれて疲弊するスタッフを減らす、といったスムーズなクリニック経営の一助になれば幸いです。

株式会社パドルシップ 代表取締役
京都大学卒、京都大学大学院修了
総合電機の技術職、日系コンサルティング会社で新事業企画、ベンチャー支援等の経験を経て、2023年に株式会社パドルシップを設立。
江戸川区のクリニック立上や戦略立案、集患を経験し、現在も経営に参画。

レセプトデータとは?
まずはレセプトデータ分析に利用するレセプトデータについて紹介します。
レセプトデータとは医療報酬請求の明細データ
レセプトデータとは、保険者に請求する診療報酬明細書の電子データです。実施された診療行為、使用された薬剤、検査の内容などが詳細に記録されています。
レセプトデータに含まれる情報
レセプトデータに含まれる情報を、分析に活用できる項目に絞って紹介します。
- 患者情報: 氏名、性別、生年月日、診療年月、請求点数
- 診療情報:傷病名、診療行為、医薬品、など
レセプトデータ分析でできること
レセプトデータは、診療報酬を請求することはもちろん、診療情報を詳細に記しているという特徴から、クリニックの診療や経営の状況を把握するのに役立ちます。レセプトデータを分析・活用することで、以下のようなことが可能になります。
1. 経営状況の把握と改善
- 収益の把握: 月次などで売上や患者数を分析することで、もし「先月は忙しかったのにあまり売上は高くなかった」などであれば、「非常勤の医師の方があまり患者を診ていないのでは」など、原因を分析するきっかけとすることができます。
- 来院患者の分析: 新規来院患者数や、リピート率を分析することで、クリニックの認知が広がっているかや、他のクリニックに転院する傾向がないか、などを把握し、早めに手を打つことができます。また、患者の年齢層、性別を分析することで、患者層の特性を把握し「2-30代の患者が人口に比べて来院していない」とわかれば、その患者に合わせたチラシや広告も検討することができます。
- 患者単価の分析: 患者一人当たりの診療単価を分析することで、収益性の高い傷病を把握し、どういった患者さんを来院に繋げたいかを明確に定めることができます。
2. 診療の質向上
- 傷病の分析: クリニックを受診する患者の傷病を分析することで、全国の傷病ごとの患者数と比べてクリニックへの来院数が極端に少ないかを把握できます。もし少ない場合、患者に医療が届いていない可能性があるため、来院を促す活動を行うなどのアクションに繋げることができます。
- 離脱患者の抽出: 定期的な来院が必要だが、来院しなくなってしまった患者をレセプトデータから抽出し、連絡をすることで、患者の健康管理をサポートし、再診率の向上に繋げることができます。
このように、レセプトデータはクリニックの経営改善と診療の質向上につながる情報を有しているため、うまく活用することで、医療を届けたい患者さんに届けることができ、かつクリニックとしても持続可能な状態を維持できると考えます。
レセプトデータ分析ではできないこと
一方で、レセプトデータに含まれないデータとしては、以下が挙げられます。
- 診療日: 診療日、診療時間、予約有無、予約時間
- 医師情報: 担当医師
- 患者情報: 患者住所
- 自費情報: 自費診療の内容、金額
このため、レセプトデータでは以下のような分析が実行できません。
1. 経営状況の把握と改善
- 自費を含めた収益の把握: 自費含めてクリニックの売上がどれぐらいか、は実施ができません。
- 曜日・時間ごとの来院傾向: 金曜の17時は患者が多いため、診療時間を延ばそう、等の分析は実施できません。
- 予約率の把握: 予約システムを変更したが、予約率が下がっていないか、等の分析は実施できません。
2. 診療の質向上
- エリアの分析: 南のエリアから40代の患者が来ていないため、チラシを配布する、等の分析は実施できません。
- 医師ごとの処置分析: 非常勤の医師が、処置をしっかりと取っているか、等の分析は実施できません。
レセプトデータに含まれる情報は一定のため、上記のようなより細かい分析がしたい場合には、電子カルテのデータを抽出し、分析を実施するのが得策です。
レセプトデータ分析の方法
次に、レセプトデータの分析の方法として、
- データの取得
- 分析に用いるツール
について説明していきます。
データの取得
レセプトデータ分析を行うために必要なデータと、その具体的な取得方法について解説します。
まず、レセプトデータ分析を行うためには、レセプトデータ本体が必要となります。
そのレセプトデータの取得方法は、大きく分けて以下の方法があります。
- レセプトコンピュータ: クリニックで使用しているレセプトコンピュータから提出用のレセプトデータを出力することができます。ファイルの拡張子は UKE ですが、データの実体としてはCSV形式であるため、こちらを読み込み、データ加工、集計などをしていきます。
- 委託業者からのデータ提供: レセプトデータ分析サービスを提供している業者に依頼することで、データ提供を受けることができます。業者は、レセプトデータの抽出、データ加工、集計などの作業を代行してくれるため、クリニックの負担を軽減することができます。
データを取得した後は、データ加工~分析を行います。
レセプトデータ分析に用いるツール
レセプトデータ分析に用いるツールの種類としては、Excel、データ加工・分析ツール、BIツール、ベンダー提供の分析システムなどがあります。
- 表計算ソフト(Excelなど): 簡単な集計やグラフ作成などを行うことができます。
- データ加工・分析ツール(Python、Rなど): より高度な分析を行うことができます。
- BIツール(Tableau、Power BIなど): 直感的な操作で可視化ができ、また会議の場での深堀り分析などにも対応ができます。
- レセプト分析システム: レセプトデータ分析に特化したシステムを利用することで、簡易に分析を行うことができます。
どのツールを使用するのがよいかは、分析の目的や分析を行う担当者のスキルなどによって変わります。
もし担当者のスキル的に対応が難しい場合には、「分析に膨大な時間を費やしてしまう」「分析の結果が間違っており、ミスリードに繋がった」などのリスクを回避するためにも、専門業者に依頼をするのも手かもしれません。
まとめ
本記事ではクリニックの経営判断に利用するための、レセプトデータの分析についてご説明しました。
クリニックに潜む課題を抽出することで、結果が出やすい集患対策に絞って実施をすることができます。
是非一度自院でも無駄なコストをかけていないかチェックしてみてはいかがでしょうか。
最後に、筆者はクリニックの事務長業務を経験し、様々な経営指標を分析してきました。データが散らばっていたり、意図したまとめ方がすぐにわからないなど様々な分析業務の非効率さを味わってきました。
そこで経営分析をしようにも、まず何からしたらいいかわからない方、データの前処理が面倒だと感じる方に対し、経営分析が簡易的にできるツール、メディカルボードを開発しました。
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