訪問診療・在宅レセプト業務、採用より外注がお得?コスト差150万円の理由

訪問診療を行うクリニックにとって、レセプト業務に対応できる人材の確保は、診療報酬の安定請求を実現するための重要課題です。
しかし現場では、
- 「訪問診療レセプトの経験者が見つからない」
- 「採用コストが高い」
- 「教育に時間がかかりすぎる」
といった悩みが絶えません。
さらに、採用活動を続けるよりも、外部委託を活用した方が年間150万円以上のコスト削減につながるケースもあります。
本記事では、訪問診療レセプト業務の採用が難しい理由と、採用課題を解決するための実務的な対策を解説します。加えて、当社が提供するレセプト支援サービス「メディサポ」を活用し、採用リスクを回避する方法もご紹介します。

株式会社パドルシップ 代表取締役
京都大学卒、京都大学大学院修了
総合電機の技術職、日系コンサルティング会社で新事業企画、ベンチャー支援等の経験を経て、2023年に株式会社パドルシップを設立。
江戸川区のクリニック立上や戦略立案、集患を経験し、現在も経営に参画。

訪問診療におけるレセプト業務の重要性とは?
訪問診療は、患者の自宅や施設に医師が出向き、計画的に診療を行う医療形態です。
近年、高齢化と在宅医療推進により需要が拡大しており、導入するクリニックも増加しています。
しかし、この領域のレセプト業務は、外来診療と比べて複雑で専門性が高いのが特徴です。
そのため、正確なレセプト処理ができないと、返戻・査定による売上減少やキャッシュフローの悪化につながります。
1. 加算・算定ルールの複雑さ
訪問診療では、外来診療と異なり、以下のような多数の加算・点数体系があります。
- 在宅時医学総合管理料(在総管)
- 特別管理加算(人工呼吸器・在宅酸素など)
- ターミナルケア加算
- 同一建物居住者に関する取扱い
- 夜間・早朝・深夜訪問加算
これらは、訪問時間帯、患者の状態、管理内容、施設基準の届出状況などによって算定条件が細かく設定されています。
一つでも要件を満たさないまま請求すると、返戻や査定で収益が減少するリスクが高いのです。
2. 施設基準と請求の連動
訪問診療で算定できる点数は、施設基準の届出が前提となっているケースが多いです。
例えば、在宅時医学総合管理料(在総管)を算定するには、「在宅療養支援診療所(在支診)」の届出が必要です。
届出忘れや体制不備で算定してしまうと、過誤請求による返還・指導リスクが発生します。
3. 書類管理の厳格さ
訪問診療では、カルテや訪問記録、訪問看護指示書、在宅療養計画書など、多くの書類の整合性が求められます。
これらに不備があると、算定していても審査支払機関で返戻対象となり、再請求や未収が発生する原因になります。
4. 経営に直結するキャッシュフローリスク
レセプトの返戻や査定が発生すると、以下のような悪影響があります。
- 入金遅延 → 運転資金に影響
- 請求漏れ・算定漏れ → 売上減少
- 再提出作業の増加 → 医療事務スタッフの負担増
訪問診療を行う医療機関にとって、レセプト精度の低下はそのまま収益リスクにつながるのです。
5. 専門人材不足によるリスク
訪問診療レセプトの対応には、専門知識を持つ事務スタッフが必要ですが、採用難や教育負担が課題となっています。
その結果、属人化が進み、担当者の退職で業務が停滞するリスクも高まります。
なぜ訪問診療レセプト担当者の採用は難しいのか?
訪問診療を提供するクリニックの多くが直面する課題が、訪問診療レセプトに精通した医療事務スタッフの採用難です。
その背景には、以下の要因があります。
1. 即戦力人材が圧倒的に少ない
訪問診療レセプト業務は、外来診療のレセプトとは算定ルールが大きく異なる専門分野です。
例えば、在宅時医学総合管理料や特別管理加算、同一建物加算など複雑な仕組みを正確に理解する必要があります。
現場の声:「訪問診療経験者を条件に求人を出しても、3ヶ月経っても応募ゼロという状況もあります。」
2. 教育コストと時間がかかる
訪問診療の加算やレセプト要件は複雑で、医療事務スタッフの教育には最低でも数ヶ月の育成期間が必要です。
さらに、教育中は既存スタッフがサポートに回るため、業務負担が二重化します。
現場データ:訪問診療特化の教育を自院で実施した場合、1人あたり年間20万円以上の教育コストが発生するケースも。
3. 求人市場における競争が激しい
訪問診療対応可能な医療事務スタッフは希少で、他院との採用競争は激化しています。
求人広告を出しても応募が来ないことは珍しくなく、紹介会社を使うと1人あたり20万円~30万円の採用コストが必要です。
現場の声:「求人広告を複数媒体に出しても反応ゼロ。結局、人材紹介に頼るしかない。」
4. 業務の責任が重く、定着しづらい
訪問診療レセプトは、ミスがクリニックの収益に直結する責任重大な業務です。
算定漏れや誤請求による返戻・査定でキャッシュフローが悪化すれば、スタッフのプレッシャーは増大します。
結果、離職率が高まり、「せっかく採用しても半年で辞めてしまう」ケースもあります。
5. 属人化しやすい業務構造
訪問診療レセプトは、経験者に業務が集中するため、引き継ぎが難しいのが現実です。
属人化は、退職=請求業務の停滞という深刻なリスクを招きます。
訪問診療レセプト採用課題を解決する3つの方法
① 業務の一部をシステム化し、負担を軽減する
訪問診療のレセプト業務では、加算判定・訪問実績との突合・返戻対応といった複雑なプロセスがあります。
これを紙ベースやExcel管理で運用しているクリニックは、人的ミスや作業遅延が起こりやすいのが現実です。
■ システムでできること
- 電子カルテとレセプトソフトを連動し、訪問記録と請求データを紐付ける
- 加算アラート機能を設定し、算定漏れを自動で検出
- 返戻履歴を分析し、リスクパターンを事前に防止
■ メリット
- 医療事務スタッフの作業時間を短縮
- 計算ミスや入力漏れを減らし、返戻リスクを低減
- 教育コストを削減できる(業務の属人化を防げる)
② 採用条件を見直し、教育プランを明確にする
訪問診療レセプト経験者に絞ると、応募数は極端に減ります。
採用難を打破するには、「未経験でも育成できる体制」を整えることが重要です。
■ 実務でやるべきこと
- 求人要件の幅を広げる
- 「訪問診療経験必須」ではなく、「レセプト経験歓迎+訪問診療は研修あり」に変更
- 「訪問診療経験必須」ではなく、「レセプト経験歓迎+訪問診療は研修あり」に変更
- 研修プログラムを用意する
- 訪問診療特有の加算ルール・施設基準・算定チェックリストを整備
- OJT+マニュアル+動画学習を組み合わせ、短期間でスキルアップ可能な仕組みを作る
- 訪問診療特有の加算ルール・施設基準・算定チェックリストを整備
■ メリット
- 採用ターゲットが拡大し、応募数が増える
- 教育計画を示すことで、応募者に「安心感」を与え、定着率向上につながる
③ 外部のプロに業務を委託する(レセプト支援サービスの活用)
訪問診療レセプトの採用課題を根本から解決する最も即効性の高い方法は、一部または全部を外部専門サービスに委託することです。
■ なぜ外部委託が有効なのか?
- 採用活動の負担・コストがゼロになる
- 専門知識を持つスタッフが対応するため、算定漏れや返戻率を大幅に低減
- 医療事務スタッフの教育負担をなくし、本来の業務(受付・患者対応)に集中できる
コスト面について、もう少し詳細を比較してみます。
採用コスト vs 外注コストの比較
項目 | 医療事務を採用した場合 | 外部委託 |
人件費(月額) | 約200,000~250,000円(※常勤・社会保険含むと月30万円超) | 約100,000~200,000円(レセプト件数・サポート範囲による) |
賞与・福利厚生 | 年間50万円~70万円 | なし |
採用コスト(求人広告・紹介料) | 10万円~30万円/1回 | なし |
教育・研修コスト | 初年度 0~20万円 | なし |
退職・引き継ぎリスク | 担当者退職で業務停滞 (属人化しやすい) | なし |
精度・専門性 | 担当者のスキルに依存 | 専門スタッフによるサポート |
■ コスト試算(1年間)
- 採用+人件費の場合:
月30万円 × 12ヶ月 + 採用・教育コスト → 約400万円~450万円/年 - 外注(メディサポ)の場合:
月10~20万円 × 12ヶ月 → 約120~240万円/年
差額:約150万円以上
→ 採用負担や教育リスクを考えると、外注はコスト・安定性の両面で優位性が高いといえます。
なぜ外注で150万円以上のコスト削減ができるのか?
上記をまとめると、以下の理由からです。
- 人件費や社会保険料、賞与不要:採用なら年間400万円超、外注なら120~240万円(依頼件数に依存)。
- 採用・教育コストがゼロ:求人広告・人材紹介料・研修不要
- 退職リスクゼロ:継続サポートで業務停滞を防止
訪問診療レセプト採用リスクを外注で解決!メディサポの強み
当社が提供するレセプト支援サービス「メディサポ」は、訪問診療を行うクリニックのレセプト業務を専門スタッフがサポートします。
メディサポの主なサポート内容
- 加算・算定ルールに基づくレセプト点検
- 算定漏れ・重複算定の事前防止チェック
- 訪問診療に特化した病名登録や算定支援
- 返戻・査定リスクを未然に防ぐ体制構築
導入メリット
- 人材採用コストを削減し、求人難を回避
- スタッフが診療補助や患者対応に集中できる
- レセプト返戻率を低減し、キャッシュフローを安定化
まとめ:採用難を“仕組み”で解決し、訪問診療の経営を安定化する
訪問診療のレセプト業務は、外来と異なる複雑な加算ルール、施設基準、書類要件が絡み合う非常に専門性の高い分野です。
そのため、採用難・教育負担・属人化といった課題は、今後さらに深刻化することが予測されます。
採用での対応には以下のリスクがあります
- 人件費・採用コスト・教育費で年間400万円以上のコスト負担
- 専門知識を持つ即戦力がほとんどいない
- 担当者退職による業務ストップや返戻リスク
一方、外注を活用すれば、
- 採用・教育コストをゼロにし、年間150万円以上のコスト削減
- 専門スタッフによる加算点検で、返戻率の低減
- スタッフは本来業務(患者対応・診療補助)に集中可能
つまり、「採用に悩み続けるより、仕組みを整える方がクリニック経営にとって圧倒的に有利」ということです。
訪問診療を安定して続けるためには、
- レセプト業務を属人化させないこと
- 精度と効率を両立できる体制を構築すること
これがカギです。
当社のレセプト支援サービス「メディサポ」は、
訪問診療に特化した加算・算定チェック、返戻防止策、病名登録支援を実施し、請求精度と経営の安定化を両立します。
「採用が進まない」
「返戻や算定漏れで請求が安定しない」
そんな悩みを抱えているなら、今が仕組み化を検討するタイミングです。

医療事務の人材採用・育成の負担を解消
「レセプト業務代行」
電子カルテデータより集患や運用の課題を抽出
クリニック事務長が作った経営分析ツール
「メディカルボード」
電子カルテデータより集患や運用の課題を抽出
- データ処理の煩雑さ/工数の増大
- 分析の切り口がわからない
現場でのこのような課題を解決するために、
電子カルテのデータを瞬時に見える化するツールを開発しました。