【現役事務長が解説】訪問診療のレセプト業務とは？ミスを防ぎ、請求業務を安定させるためのポイント

訪問診療を行うクリニックにとって、質の高い医療を継続的に提供するだけでなく、診療報酬請求（レセプト）業務の正確性と効率化は、経営の安定に直結する重要な要素です。

特に訪問診療は、外来とは異なる点数体系や加算ルール、記録・証明要件など、専門性の高い処理が求められます。

しかし、実際の現場では、訪問診療特有の点数体系や加算ルール、厳密な記録提出要件により、レセプト業務は非常に複雑でミスが発生しやすい領域となっています。さらに、医療事務スタッフの採用難や人手不足により、内部でレセプト業務を完結することが難しいというご相談も増えています。

このような背景を受けて、当社のレセプト業務代行サービス「メディサポ」では、この度訪問診療のレセプト業務代行を始めることにしました。専門性を持ったスタッフが、遠隔で高精度なレセプト処理を代行することで、ミスの防止と請求業務の安定化を目指しています。

本記事では、訪問診療におけるレセプト業務の特徴とよくあるミス、返戻・査定を減らすための具体策を、実務目線でわかりやすく解説します。

訪問診療とは？需要が高まる在宅医療サービス

高齢化社会の進行と在宅療養支援の強化により、訪問診療を導入するクリニックが増えています。通院が困難な患者に対し、自宅や施設で医療を提供できる訪問診療は、社会的にも医療経営的にも重要性を増しています。

一方で、訪問診療には独自の診療報酬制度が存在し、外来診療とは異なるレセプト対応が求められます。これがレセプトミスの温床となり、返戻や査定による収益のロスを生む要因になっています。

訪問診療のレセプト業務における3つの特徴

1. 複雑な加算と点数設定

• 在宅患者訪問診療料
  
• 在宅時医学総合管理料（在総管）
  
• 特別管理加算
  
• 夜間・深夜・早朝加算
  
• 同一建物内居住者の扱い　など
  

これらは患者状態や訪問時間帯、医療提供体制などにより細かく算定要件が異なり、手動での管理ではミスが避けられません。

2. 記録の厳格な提出要件

診療記録、訪問実績、ケアマネジャーへの指示書、在宅医療計画書などの書類不備による返戻リスクも高く、運用ミスが請求トラブルの原因になります。

3. 算定・入力業務の属人化

訪問診療の請求は、一部のベテラン事務スタッフに依存しがちであり、人員の急な入れ替わりに対応できず、継続的な業務維持が困難になるリスクも抱えています。

よくあるレセプトミスとその原因・対策

では、その複雑な訪問診療のレセプトに対しよくあるミスやその原因について記載します。

以下の表に、訪問診療のレセプト業務で頻発する代表的なミスと、それに対する具体的な対策をまとめました。

ミスの内容	原因	効果的な対策
加算の未請求	要件漏れ／知識不足	自動アラート・算定リストの導入
二重請求	カルテ分業／情報の重複	レセプト・スケジュールの一元管理
同一建物加算の誤算定	居住人数の把握不足	施設マスタの活用と訪問ルート単位で管理
記録不備	手書き・入力遅延	電子記録ツールと月次監査の実施

それぞれについて詳しく解説します。

1. 加算の未請求・算定漏れ

よくあるケース

• 在宅患者訪問診療料と併せて算定できる夜間・深夜加算や緊急時訪問加算を見落としていた
  
• 特別管理加算の要件（中心静脈栄養、在宅酸素など）を満たしていたが、記録が不完全で算定されなかった
  

原因

• 診療時間・訪問目的・患者状態の共有不足
  
• 担当スタッフの加算知識が不十分
  

対策

• 電子カルテ上で自動加算アラートを設ける
  
• 医師・事務スタッフ間で「訪問目的」と「実施内容」の事前共有ルールを明確化
  
• 加算対象患者の一覧管理を行い、毎月チェックリスト化する
  

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2. 二重請求・請求重複

よくあるケース

• 同一日に複数の訪問診療を行い、それぞれで基本診療料を請求してしまった
  
• 訪問診療と訪問看護の両方で、重複する管理料を算定してしまった
  

原因

• カルテ・レセプト作成が複数のスタッフで分業されている
  
• 患者スケジュールと請求履歴の突合が不十分
  

対策

• 訪問記録と請求データの一元管理システムの導入
  
• 訪問日ごとに重複禁止チェック項目を設ける
  
• 定期的な第三者によるレセプト点検の実施
  

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3. 同一建物居住者の加算誤り

よくあるケース

• サ高住や有料老人ホーム等において、同一建物での2人目以降の患者に基本点数を過大請求してしまった
  

原因

• 施設単位での居住者数や訪問日程の把握が不十分
  
• 訪問リストとレセプト入力がバラバラに処理されている
  

対策

• 同一建物の患者マスタを作成し、居住者の人数を常時把握
  
• 一つの施設に対して「訪問ルート単位」での管理を行う
  
• レセプト入力時に「同一建物内フラグ」を自動設定するシステム構築
  

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4. 訪問記録・指示書の不備

よくあるケース

• 医師の訪問記録が未記載、または日付が診療日と一致していない
  
• ケアマネや看護ステーションに出した訪問看護指示書の控えが保存されていない
  

原因

• 紙・手書き記録での運用
  
• 書類管理が属人的でバラバラ
  

対策

• 電子カルテ連動の訪問記録ツールを導入し、訪問直後に入力
  
• 書類のPDF保存・共有ルールをマニュアル化
  
• 毎月の監査チェック項目として「記録完備率」を確認する

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訪問診療のレセプト業務を効率化する方法

では、ミスを少なくし、レセプト業務を効率化する方向性をご紹介します。

医療事務スタッフの教育強化

最新の診療報酬改定内容や訪問診療特有のルールを熟知した医療事務スタッフの配置は、ミス防止の基本です。

レセプトチェックツールの活用

レセプト点検システムを導入することで、加算漏れ・重複請求・要件違反などを自動で検出でき、作業負担を大幅に削減できます。

レセプト代行サービスの活用

訪問診療のレセプト代行業者に外注することで、医師やスタッフは本来の診療業務に集中でき、請求精度も向上します。

レセプトの業務代行で実現する「診療に専念できる体制」

当社が提供するレセプト業務代行サービス（メディサポ）では、以下のようなサポート体制を構築しています：

• 診療報酬制度に精通した専任スタッフが対応
  
• 加算点検・記録チェック・返戻対応まで一貫処理
  
• ノウハウの蓄積を意識したサポート体制
  

医師・事務スタッフの時間的余裕と精神的負担の軽減、さらには売上ロスの防止が可能です。

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まとめ：レセプト代行で訪問診療の経営リスクを最小化

訪問診療におけるレセプト業務は、正確性と継続性が求められる非常に重要な業務です。内部対応が難しい場合や、スタッフの負担が大きくなっている場合は、レセプト業務の代行や外注が大きな助けになります。

「診療に集中できる体制を整えたい」
「返戻を減らし、請求業務を安定させたい」
そんなお悩みをお持ちのクリニックは、ぜひ当社のレセプト代行サービスをご検討ください。

最後に、弊社ではレセプトや日々のカルテや加算・算定をチェックする医療事務の業務支援も行なっています。

15年以上、加算・算定漏れの確認や傷病名の確認、返戻/査定業務を実施してきた医療事務さんが在籍しており、単純な加算・算定漏れを指摘するサービスとしてだけではなく、クリニックに知識やノウハウを蓄積することに重きを置いた遠隔レセプト代行サービス（メディサポ）を提供しております。

「診療に専念できる体制を整えたい」「返戻を減らして経営の安定を図りたい」──そんなお悩みをお持ちのクリニック様は、ぜひ一度当社にご相談ください。貴院に最適なレセプト支援体制をご提案いたします。