レセプト返戻事由のよくある原因とその対策|返戻ゼロを目指すクリニックへ

クリニックを開業・運営するうえで、医師として質の高い医療を提供するだけでなく、経営の安定化も重要なミッションです。
なかでも課題に挙がりやすいのが、人材問題――特に医療事務スタッフの急な離職や採用難です。
医療事務は、診療報酬請求(レセプト業務)をはじめ、外来会計、受付対応、電話応対など多岐にわたる業務を担っています。
特に、レセプト業務は保険診療の売上確保に直結する重要な業務であり、日々のカルテチェック、外来会計等は専門性が高く、誰にでもできる業務ではありません。また、ミスがクリニック経営に大きな影響を及ぼします。
そこで当社では、専門性の高い医療事務スキルをクリニックに安定的に蓄積できる「遠隔レセプト業務代行サービス(メディサポ)」を提供しています。
本記事では、レセプトの返戻事由とその原因、返戻を減らす具体策について徹底解説します。

株式会社パドルシップ 代表取締役
京都大学卒、京都大学大学院修了
総合電機の技術職、日系コンサルティング会社で新事業企画、ベンチャー支援等の経験を経て、2023年に株式会社パドルシップを設立。
江戸川区のクリニック立上や戦略立案、集患を経験し、現在も経営に参画。

1. 返戻事由とは?
レセプト返戻事由とは、提出した診療報酬明細書(レセプト)が、審査機関(支払基金・国保連)から不備や疑義を理由に差し戻される際の具体的な理由を指します。
返戻事由が明記されることで、医療機関は内容を修正し、再提出が可能になります。
返戻対応を適切に行うことは、診療報酬の確実な回収につながるため、経営上も非常に重要です。
2. よくある返戻事由トップ5とその対策
返戻事由 | 内容 | 対策方法 |
① 診断名と算定内容の不整合 | 例:軽症の感冒に対して高度な画像診断を実施など | 診療行為ごとの適切な病名紐づけマニュアルを整備 |
② 記載漏れ・記載不備 | 入院日・診療年月日・単位記載ミスなど | 提出前にフォーマットごとのチェックシート活用 |
③ 保険情報の誤記 | 古い保険証・記号番号違いなど | 毎月の保険証確認ルールをスタッフで統一 |
④ 同一項目の重複請求 | 同月内に同じ検査を2回請求してしまうケース | レセプト点検ソフトの自動チェック設定を活用 |
⑤ 公費併用時の記載ミス | 負担区分、併用記号の記載忘れなど | 公費対応患者のレセプトは別フローで確認 |
3. なぜ返戻が多くなりやすいのか?原因は?
返戻が発生すること自体は珍しくありませんが、異常に多い場合は次のような原因が隠れているかもしれません。
- 医師自身(あるいは医療事務)による病名・算定入力ミス
- 診療報酬改定に対応できていない(旧ルール運用)
- 業務の属人化(ベテラン事務員頼み)
- 再確認の時間が取れないほど業務逼迫
こうした背景に気づかず放置すると、返戻が慢性化してしまい、収益悪化やスタッフ負担増に直結するリスクもあります。
4. 返戻事由の「見える化」で再発防止!
返戻を「毎月処理するだけ」ではなく、「原因を体系化して対策する」ことで、返戻率は着実に下がります。
返戻防止の4ステップ
- 返戻通知をExcel等で一覧管理
- 返戻事由ごとに分類・件数集計
- トップ3の返戻原因に対するマニュアル策定
- 月次ミーティングで対策を共有・実行→改善状況を定期モニタリング
このPDCAサイクルを回すことで、返戻率を着実に低下させることができます。
5. レセプト返戻の再発を防ぐには?外注も検討を
当社のようなレセプト代行サービス(メディサポ)を利用することで、以下のような返戻対策が実現可能です。
- 返戻内容をプロが分析し、再発防止策を提案
- 診療科・疾患ごとの返戻リスクをアラート
- 提出前の二重・三重の人力チェック体制
成功事例|整形外科クリニックでの加算漏れを発見・改善
ある整形外科クリニック様では、レセプトを点検・分析した結果、特に見つかったのは次のような算定漏れです。
- 下肢動脈エコー検査実施時の算定
下肢血管に対する超音波検査(その他):350点
⇒超音波検査(下肢血管):450点 - 穿刺液に関する算定
穿刺液材料で細菌培養同定検査(その他):180点
⇒細菌培養同定検査(穿刺液):225点 - 創傷処置に関する算定
創傷処置:45点
⇒下肢創傷処置:135点
これらの加算漏れは、知識の不足の観点もありますが、日常的な診療業務のなかで見逃しやすいため、カルテ記載・病名チェック・レセプト点検の仕組み化がカギになります
6. まとめ|返戻事由の理解と対策でクリニック経営を盤石に
レセプト返戻事由は、単なる事務的ミスではなく、診療の質、事務体制、経営効率を映す鏡です。
「知る」「防ぐ」「減らす」という視点を持ち、継続的に改善に取り組むことで、
返戻ゼロを目指すクリニック経営を実現できるようにしましょう。
最後に、弊社では15年以上、加算・算定漏れの確認や傷病名の確認、返戻/査定業務を実施してきた医療事務さんが在籍しています。
単純な加算・算定漏れを指摘するサービスとしてだけではなく、クリニックに知識やノウハウを蓄積することに重きを置いた遠隔レセプト代行サービス(メディサポ)を提供しております。
是非一度、お問い合わせください!宜しくお願い致します。弊社ではレセプトや日々のカルテや加算・算定をチェックする医療事務の業務支援も行なっています。
ぜひ一度お問合せください。

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