生活習慣病管理科について解説【2024診療報酬改定】
2024年度の診療報酬改定で新設された「生活習慣病管理料(Ⅱ)」は大きな話題となりました。内科系の医療機関では特に馴染みがある「特定疾患管理料」から、生活習慣病である糖尿病・高血圧症・脂質異常症が除外となりました。そのため、この3つの疾病を主病とする場合は「生活習慣病管理料」で算定することになった医療機関が多いのではと思います。
そこで、この記事では、生活習慣病管理下について、わかりやすく解説していきたいと思います。
株式会社パドルシップ 代表取締役
京都大学卒、京都大学大学院修了
総合電機の技術職、日系コンサルティング会社で新事業企画、ベンチャー支援等の経験を経て、2023年に株式会社パドルシップを設立。
江戸川区のクリニック立上や戦略立案、集患を経験し、現在も経営に参画。
生活習慣病管理料の改定ポイント
生活習慣病管理料は、糖尿病・高血圧症・脂質異常症を主病とする患者に対して、同意を得て治療計画を行い、総合的な治療を目的とした管理料になります。
今回の改定で、元々あった生活習慣病管理料が(Ⅰ)と(Ⅱ)に分けられました。それぞれご説明します。
生活習慣病管理料(Ⅰ)
生活習慣病管理料(Ⅰ)は、生活習慣病管理料から名称が変更となり、対象疾病によって点数は異なりますが各疾病40点ずつ増加しました。
今までの生活習慣病管理料と同様で、610点〜760点と点数は高いですが、医学管理・検査・注射・病理診断が包括されてしまい、管理料とは別に算定できないのが特徴です。点数が高いので患者さんの金銭的負担が大きいため、(Ⅰ)を算定する医療機関は少ないのではないでしょうか。
生活習慣病管理料(Ⅱ)
今回新設された生活習慣病管理料(Ⅱ)は、検査等を包括しない出来高算定が可能となりますが、月1回333点の算定となります。
また、(Ⅰ)(Ⅱ)ともに、患者さんの同意を得て治療計画を行い、療養計画書を作成し患者の署名を得ること、外来管理加算や在宅自己注射指導管理料が算定できないなどの算定要件があります。
療養計画書の改定ポイント
療養計画書とは、今後の治療の目標や生活上の注意点などを具体的に記載した書類のことです。
この度、従来より簡素化され、療養計画書と別に血液検査結果を渡している場合や、令和7年から開始される予定の電子カルテ情報共有サービスを活用する場合は、その旨を診療録に記載していれば血液検査項目の記載が不要となります。
2回目以降は療養計画書に変更がなければ4月に1回以上の交付が必要となります。
(参考資料:公益社団法人 東京都医師会)
療養計画書<初回用>https://www.tokyo.med.or.jp/wp-content/uploads/application/pdf/keikakusho_-9.pdf
療養計画書<継続用>https://www.tokyo.med.or.jp/wp-content/uploads/application/pdf/keikakusho_9-2.pdf
療養計画書作成のクリニックにおける運用事例
療養計画書を作成することが初めてというクリニックも多いと思いますので、実際にクリニックではどのように運用しているか事例をご紹介します。
筆者の所属しているクリニックでは、診察が始まる前までに事務が初回発行予定患者の療養計画書をあらかじめ先に印刷をし、医師に渡しておきます。
次に診察が終わると署名をもらった療養計画書を看護師が受付に持っていき、控え用としてスキャンをし保存、原本は患者へ渡すという流れになっております。
当クリニックでは予約制度を導入しているため、あらかじめ準備をしておくことができますが、そうでないクリニックでは事前に準備ができないため、診療中にこれらの準備をしなければなりません。そのためクリニック全体の負担も大きいと言えます。
ぜひご参考頂ければ幸いです。
特定疾患管理料・特定疾患処方管理加算の変更点
最後に、これまでの加算がどのように変わったかをご説明します。
今までは糖尿病・高血圧症・脂質異常症が主病名の場合は、月2回まで算定可能の特定疾患管理料で算定されることが多かったと思います。
それが今回の改定で、特定疾患管理料からこれら3つの疾病が除外されました。ですので月2回算定していた医療機関は収益にインパクトがあると思います。
また、特定疾患管理料とともに算定していた特定疾患処方管理加算1が廃止となり、特定疾患処方管理加算2も特定疾患処方管理加算に名称が変更となり、66点から56点へ減点となりました。
従来の算定ですと、28日以上処方で月1回受診の場合、特定疾患管理料(225点)・特定疾患処方管理加算2(66点)・外来管理加算(52点)の343点が算定できましたが、改定後は、生活習慣病管理料333点のみの算定となり、10点ではありますが診療単価の減少となりますので医療機関の収益ダメージは大きいことでしょう。
まとめ
今回の改定で最もインパクトの大きい変更である特定疾患管理料、生活習慣病管理料についてご説明しました。
今回の改定で特定疾患管理料から、糖尿病・高血圧症・脂質異常症が除外され、算定できなくなってしまいました。また特定疾患管理料とともに算定していた特定疾患処方管理加算が10点減点されました。
とはいえ10点減点にはなりましたが、生活習慣管理料を算定するクリニックが多いと思います。
またその算定のためには療養計画書を記載する必要がありますが、初めて取り組むクリニックも多いと思いますので、実際の運用でお困りではないでしょうか。
本記事では筆者の所属するクリニックでの実際の業務フローを紹介しました。ぜひご参考頂ければ幸いです。
<生活習慣病管理料のポイント>
・(Ⅰ)は点数が高いが、検査等が包括される。
・外来管理加算は包括される。
・糖尿病を主病とする場合、在宅自己注射指導管理料が包括される。
・患者の同意と署名が必要な療養計画書を作成する。
・月に1回の算定
・初診月は算定できないが、1ヶ月経過していなくても次月から算定可能
最後に、弊社では15年以上、加算・算定漏れの確認や傷病名の確認、返戻/査定業務を実施してきた医療事務さんが在籍しています。
単純な加算・算定漏れを指摘するサービスとしてだけではなく、クリニックに知識やノウハウを蓄積することに重きを置いた遠隔レセプト代行サービス(メディサポ)を提供しております。
是非一度、お問い合わせください!宜しくお願い致します。
弊社ではレセプトや日々のカルテや加算・算定をチェックする医療事務の業務支援も行なっています。
ぜひ一度お問合せください。
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