クリニックのDXの3つのポイントと具体事例を説明します
クリニックでは様々な情報・データを利用する必要がありますので、様々なITツールを活用されている先生も多いと思います。
一方で、昨今DX化などと騒がれている中で、ITツールを導入したほうが良さそうというのはわかるが何もできていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「DX化の流れに乗れておらず、具体的に何ができるか知りたい」
「クリニックのDXをどんどん進めていきたい」
こういったことを考えられている先生はこの記事より、クリニックのDXとして何を考えて具体的に何ができるかを確認してください。
株式会社パドルシップ 代表取締役
京都大学卒、京都大学大学院修了
総合電機の技術職、日系コンサルティング会社で新事業企画、ベンチャー支援等の経験を経て、2023年に株式会社パドルシップを設立。
江戸川区のクリニック立上や戦略立案、集患を経験し、現在も経営に参画。
1. 医療DXについて
1.1 DXとは
DXはデジタルトランスフォーメーションの略で、「組織がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、組織文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。
よく、「DXはITツールを導入し、プロセスを効率化すること」と理解されがちですが、DXは単なるデータ・プロセスのデジタル化ではなく、デジタル化により組織のビジネスモデルやさらには組織に属する人の考え方や文化・風土まで変えていこう、という意味で用いられます。
1.2 DX推進とは何をしたらよいか
「DXを推進する」と言われても具体的に何をしたらよいか検討がしづらいですので、DXを3つの異なる段階に分解します。
①デジタイゼーション(Digitization):紙媒体のデジタルデータ化
②デジタライゼーション(Degitalization):業務・プロセスのデジタル化
③デジタルトランスフォーメーション(DX):顧客起点での価値創出のための事業やビジネスモデルの変革
ITツールの導入は煩雑な業務の効率化などを目的とすることが多いため②デジタライゼーションに該当する場合が多いですが、
③DXの推進とは顧客に新しい価値を届けるために新しいビジネスモデルを検討することや、そのために業務をガラッと変えてしまうことを検討します。
なお、上記は必ずしも①から順に検討するのものではなく、ゴールを設定し、その達成に必要な最適な進め方を検討することが重要です。
1.3 クリニックにおけるDX
クリニックにおけるDXを説明するために、以下の3つの段階に分解した例を示します。
①デジタイゼーション:患者様の保険証を紙でなくスキャンしたデジタルデータにて保存する
②デジタライゼーション:電子カルテを導入し、これまでの煩雑な算定プロセスを効率化する
③DX:クリニックにかかる時間がない患者様向けに、オンライン診療を開始する
①によって、デジタルデータ化することで、情報を長期保存することが容易になったり、情報を遠隔地に届けるためにメールで送信する、ということも可能になります。
②では、デジタル化により過去の情報を瞬時に検索できたり、いつものパターンがあればそれを毎回実行したりすることが可能になります。
③としては、プロセスの効率化だけに留まらず、そもそもオンライン診療を利用しなければクリニックにかからなかった方に対して医療を届ける、といった患者様へ新しい価値を提供することが可能になります。また、クリニックの運営としても、例えば都心の高い賃料を払わずとも、都心から離れたクリニックからオンライン診療にて都心の患者を診ることができるなど、ビジネスモデルも変革ができます。
2. クリニックにおけるDXの必要性
デジタル技術の進歩が著しいですが、クリニック業界も例外ではありません。
デジタル・データを活用したサービスが、患者主導で当たり前になる、という事例が、かつてない速度で進んでいます。
このため、各クリニックとしては市場を適切に捉えた上で、クリニックのミッションビジョンの達成に向けてクリニックのビジネス・仕組み・人材を変革し、新たな患者価値を創出するDXが求められます。
クリニックとしては「そんなサービスはうちには必要ない」と考えていても、患者様からみると「このサービスは今の時代だと普通なのに、とても不便だな。」と感じられてしまい、クリニックに通うのをやめてしまう、ということも起こりかねません。
DXの必要性については、他のクリニックに置いて行かれるから必要と考えているわけではなく、患者様の「当たり前に便利で手ごろなサービス」の価値に寄り添えていないことで、患者からみた価値が乏しくなってしまい、必要な医療が患者に届かない、という事態を避けるために必要と考えています。
3. クリニックDXの具体的な適用事例
クリニックDXの事例を患者のプロセスごとでそれぞれ紹介します。
<来院まで:AIチャットボットの導入>
ChatGPTが世間で騒がれるなど、AIによる答弁が普及しています。この技術を活用し、患者の質問に自動で答えてくれるAIチャットボットのサービスを適用する事例が増えています。
医療行為への介入としてではなく、まずはクリニックの受付業務として煩雑になりがちな、患者様の質問対応や予約対応などに適用されることが増えています。
患者様からすると、いつも電話が混んでいてつながらないのを解消する、というだけに留まらず、そもそも電話をしなくても欲しい情報が手に入る、という新しい価値を得ることができます。
<診察時:AIによる診断の補助>
X線やCT検査などの画像診断の補助や、リアルタイム内視鏡画像診断補助、等の技術開発が活発に行われています。
AIによる診断結果も併せて確認をすることで、重要な情報の見逃しを防ぐなどの効果が得られ、患者様として信頼性が高い医療サービスを受けられるだけでなく、先生方の負荷も軽減できるというメリットも享受することができます。
<診察後:患者の来院モニタリング>
診療データをダッシュボードで可視化することで、今まで気づけなかった問題を解決できることもあります。
例えば、定期的な外来を途中でやめてしまう患者様の存在は今まで認知できていませんでしたが、ダッシュボードで管理し、定期的にモニタリングをすることで、そういった来院が求められる患者様が来院していない状況に気付くことができます。
これにより、必要な患者様に医療行為を届け続けることが可能となります。
4. クリニックのDX推進における重要な観点
クリニックのDXを推進する上で重要な観点を以下3つ挙げます。
4.1 あくまで患者視点
上記でも説明したとおり、DXはクリニックの業務効率化だけを目的とすべきではありません。
あくまでも患者視点で考えた際に「もったいない」ことになっている部分があれば、そこに対して新しい価値を提供できないか、という考えが重要となります。
そのために必要な変革があれば実行する、という順番で考えましょう。
4.2 データの取り扱い
個人情報を取り扱う場合には、個人情報の保護についてや、データのセキュリティなどには注意を払う必要があります。
それだけでなく、データが大量に存在する場合には、そういったデータをうまく扱うことで、価値の最大化が見込めます。
こういったデータの扱いについては、データに強い専門家に任せるのが安心と考えます。
4.3 継続的なキャッチアップ
デジタル領域の技術進歩は著しく、今後も新たなサービスがどんどん出てくることになると考えられます。
そういったサービスが患者様として当たり前になる際には、クリニックとしてもそういったサービスでこれまでにない価値が提供できないかを検討することが求められます。
一方で、なかなかそれぞれのサービスにキャッチアップすることは難しいため、クリニックのことを深く理解した、デジタル領域に強いコンサルタントに相談をすることも考えられます。
5. まとめ
クリニックのDXといっても、何から考えればよいかわからないところがあると思います。
弊社では、クリニックのことを深く理解し、デジタル領域とデータに強い専門家が在籍しており、有料のコンサルティングを実施しております。
クリニックの煩雑な業務をデジタルの力で自動化・効率化するところや、患者様へ新しい価値を届けるためのITツールの導入検討、さらに増患に対してどのような施策が実施できるかなどの支援も行っております。
クリニック経営に際し、フラットに先生の意思決定をサポートさせて頂きますので、是非一度お話を聞かせてください。
宜しくお願い致します。
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