クリニック開業までの流れとスケジュール

1.クリニック開業の流れとスケジュール概要

クリニック開業までの実施事項とスケジュール(約12か月前~開業まで)をご紹介します。

この記事では、クリニックの開業の流れとして重要なポイントについて詳しく解説します。

2.クリニック開業に向けて何から始めたらよいか

クリニック開業に向けてまずやるべき項目は以下です。

①開業時期の設定
②クリニックのコンセプト整理
③開業エリアの選定

の3つとなります。これらの項目を最初に実施すべき理由は「物件の選定」に影響するためです。
クリニックの開業において、物件の選定は思い描いていたようには進まずに、想定していたよりも多くの時間がかかってしまうことが多いのです。そのため、なるべく早く着手することが重要です。このためにも、上記3つの項目を早めに、そして計画的に実施しましょう。

それでは、3つの実施事項についてそれぞれ詳しく紹介していきます。

2-1.クリニック開業時期の設定

まずはクリニックをいつ開業するのかのゴールを設定します。
ここで気になるのが「開業時期として有利な時期はあるのか?」ですが特段そういった時期はないでしょう。
強いて言えば”ご自身が開業したい時期”が、開業に適した時期ではないでしょうか。例えば3月末でこれまで勤めていた職場や大学を離れて開業するケースでは、最短で開業すると4月や5月になるため、その時期に開業するのがよい、といった具合です。
クリニック開業時期について、つい考えてしまいがちなのは、例えば、内科の先生であれば「風邪が流行る少し前に開業すれば、患者さんが増えやすい」というようなことです。しかし、そのために開業スケジュールを遅らせてしまうと、遅らせたことによる機会損失的の方が大きいと考えましょう。さらに少々厳しいこと言えば、開業時期にこだわらないと成功しないようなクリニックであれば開業すべきではないのかもしれません。

2-2.クリニックの開業コンセプト整理

クリニックの開業コンセプトとは、「どんなクリニックにしたいか」、「ターゲット患者はどんな方か」、「ターゲット疾患は何か」、「開業エリアはどこか」などです。
クリニック開業に向けて、この開業コンセプトの決定は非常に重要です。
具体的な例を挙げますと、物件の選定においては、「どのような年齢層に来院して欲しいか?」というコンセプトによって適切な開業エリアが変わりますし、また「どのような診療内容にするか?」というコンセプト次第で必要な医療機器や看護師の人数が変わり、さらにそれに応じて物件の内装レイアウトも変わってきます。
このように、開業に向けた全ての意思決定にクリニックのコンセプトが関わりますので、簡単ではありませんが、少しずつご自身のやりたいことを明確化しましょう。

クリニックのコンセプトに関して、詳しくはこちらの記事をご確認ください→<<28 クリニック開業におけるコンセプトとは、のリンク先>>

2-3.クリニック開業エリアの選定

クリニックの開業コンセプトを決めつつ、早く物件の選定に着手するためにも開業エリアを選定します。開業したいエリアはぼんやりと頭に浮かんでいるかもしれませんが、そのエリアで実際にクリニック開業が成功するかを十分に検討しましょう。
検討の方法としては”診療圏分析”と言われる、客観的なデータを用いた患者数の推計を実施します。この診療圏分析の結果は銀行などから融資を受ける際にも説明を求められることも多いです。
診療圏分析の進め方は、開業エリアの候補をあげたのちに各エリアの患者数予測結果の比較を行い、開業エリアを2~3エリアに絞り込みます。さらにそれぞれのエリアの収支計画も作成し、実際にクリニックとして経営が成り立つのかの確認した上で、このエリアを開業エリアとして決定します。
診療圏分析の方法については、別の記事で詳細に説明します。開業エリアの比較の結果、開業エリアを1つに絞ってしまってもよいですが、よい物件がそのエリアで出てこない可能性も考慮して2,3エリアは候補として残し、そのエリアで物件を検索するのがよいと思います。

3.クリニック開業に向けた流れにおいて注意すべき点

開業に向けて決めることは多く、それぞれ1つ1つを順番に決めて行けばよいですが、この決めていく流れも重要です。注意すべき点は以下の3つです。

①クリニックの内容や詳細から決め始めない
②時間のかかる項目を後回しにしない
③早ければよいということでもない

それぞれ詳しく紹介していきます。

3-1.クリニックの内容や詳細から決め始めない

クリニック開業において、やってしまいがちな過ちとして、「気になっているエリアの物件から探してみる」、「クリニックにおいて予約システムは重要と考えるので、どの予約システムがいいかを調べる」など、クリニックの中身から決め始めないよう気を付けましょう。この記事でも記載した通り、何を誰に届けるためのクリニックなのかといった開業コンセプトから決めるべきです。先に細かいところから決めてしまうと、「高齢者をターゲットとするコンセプトであるにも関わらず、スマホからの予約機能を充実させてしまう」など、ズレが生じる原因となってしまいます。
もし、クリニック運営のシステムやおしゃれなホームページに興味があったとしても後回しにし、ご自身のやりたいことの棚卸しから始めましょう。

3-2.時間のかかる項目を後回しにしない

クリニックの開業のスケジュールが後ろにずれ込まないように、または中途半端な状態での開業とならないように、時間のかかる作業が何かを把握しておきましょう。
時間のかかる実施項目として、まず「物件選定」が挙げられます。これは想像に難くないですが、「物件探し」は頑張ったからといって、スケジュール短縮ができるものではありません。開業スケジュールを無理やり守ろうとして物件を妥協してしまうことがないよう、余裕をもって物件探しを始めましょう。
また、「スタッフの採用」も同様に時間がかかる可能性があります。開業の1か月前になってもスタッフが決まっていない、ということにならないようにスタッフの採用に関しても計画を立てておきましょう。
最後に注意しておきたいのが「医療機器の選定」です。開業1か月前に、急遽必要な医療機器機器が見つかったが、納期が2か月かかるといわれてしまうというような事態を防ぐためにも医療機器の選定もスケジュールを守って実施しましょう。

3-3.早ければよいということでもない

これまで散々余裕をもって実施するのがよいと言ってきましたが、早ければよいということでもない項目もあります。例えば、物件の選定について、物件選定~開業までの期間が空きすぎている場合、無駄に賃料が発生する(空家賃)、もしくは契約を遅らせようとして貸主に断られる、などが発生してしまう可能性があります。
また、融資を受ける時期についても注意が必要です。早めに融資を実施することも重要ですが、早すぎるとその分利息が多く発生するためできるだけ遅らせた方が有利です。おそらく最初に発生する大きい支払いは物件の契約の手付金などと思いますので、ちょうどそのタイミングで融資を受けられるよう、診療圏分析の結果などは事前に整理しておく必要があります。

4.まとめ

クリニックの開業に向けて、どれぐらいの期間がかかるのか、まず何から実施すべきかを記載いたしました。記事を読んでみて、スケジュールの概要は理解したものの、結局どのように進めたらよいかがわからない、と思われたかもしれません。クリニック開業をどのように進めていくかは、知り合いの開業医の先生に聞いたり、実際にクリニックを見学に行かれたり、あるいはクリニックでバイトしてみたり、様々な情報収集の方法があると思いますので試されてみてはいかがでしょうか。
また、開業を支援する専門のコンサルタントに話を聞くというのも1つの手段です。一度話を聞いてみてはいかがでしょうか。

弊社では、開業のコンサルティングを実施しております。
先生の想いの壁打ち相手から、開業エリア選定、物件選定はもちろん、事業計画の策定支援も行っております。
開業に際し、フラットに先生の意思決定をサポートさせて頂き、開業後の経営についてもサポートさせて頂きますので、是非一度お話を聞かせてください。
宜しくお願い致します。