クリニックの内装について「設計・施工会社」の選び方や費用を解説

クリニックの設計は、クリニックのコンセプトや、院長先生の医療に対する想いを体現するものであり、特に新規でクリニックを開業される際は、注力して取り組むべきであると言えます。
しかし、実際には、

「おしゃれな内装にしたいけど、どこに内装工事を頼めばおしゃれになるのか分からない」
「幅広い年代に受け入れられる雰囲気にしたいけど、どうすればいいのか分からない」
「内装工事の見積が大幅に予算オーバーしてしまった」

などと、内装について悩みを抱えられている先生は多いです。
この記事ではクリニックの内装について、設計・施工会社の選び方や、費用相場について解説していますので、参考にしてみてください。

目次

1.クリニックの設計・施工会社の選び方のポイント

クリニックの内装がどのように仕上がるかは、設計・施工会社の選定が最も重要と言っても過言ではありません。
その設計・施工会社とは、いったい何をしてくれるのか、まずは設計・施工会社について簡単にご説明いたします。

1-1.クリニック設計・施工会社について

クリニックの設計・施工会社は、『医療施設の設計』と『施工』を担当するプロフェッショナルです。
クリニックの内装は、通常のオフィスや飲食店のような店舗とは異なり、患者さんの安心感や快適さを最優先に考えると同時に、医療機器や衛生管理などの機能性も確保する必要があります。
そのため、クリニックの設計・施工会社には、医療に関する豊富な知識と経験が求められます。
また、クリニックの内装に関連する会社としては、厳密には以下の3種類に分けられます。

①クリニック設計~施工までを一貫して実施する会社
②クリニック設計を行う会社(設計事務所)⇒施工はどこかに依頼
③クリニックの施工を行う会社

当記事では、最も一般的である「①クリニック設計~施工までを一貫して実施する会社」について解説しています。
②や③のような、クリニック内装を担当する会社と費用感がかわることもありますので、ご留意ください。
院長先生の要望や予算に適した最適なプランを提案できるだけでなく、「安全性や衛生規定に準拠した設計と施工を保証できること」が優秀なクリニック設計・施工会社の条件です。

1-2.クリニック設計・施工会社の選び方のポイント

クリニックの内装を請け負う事設計・施工会社は数多く存在しており、どのように選べばよいか迷ってしまいませんか?
クリニックを開業される先生は、内装を蔑ろにされることはありませんし、「多少費用はかかっても仕方ないけど、安価で良い内装ができればそれに越したことはない」なんて考えられる先生が多いのではないでしょうか?
そんな先生方に、設計・施工会社の選び方をポイントを絞ってアドバイスさせていただくのであれば、この4つです。

内装費用が相場とマッチしているか
施工実績が豊富であるか
コミュニケーションがスムーズか
保証、アフターサービスが満足できるものであるか

この4つに注目して、クリニックの設計・施工会社を選定しましょう。

2.クリニック設計・施工会社の選び方解説

クリニックの設計・施工会社について、基本的な解説をし、選び方のポイントをご紹介しましたので、それぞれについて詳しく解説していきたいと思います。

2-1.内装工事の費用が相場とマッチしているか

まず、クリニックの内装工事の費用について、解説します。
クリニックの内装工事の費用は、「坪単価」「物件の種類」「工事内容」この3点で算出されます。
(内装の設計やデザインについては、施工費全体の10%程度になります。)

①坪単価の相場

クリニックの内装工事において、重要なポイントの一つが「坪単価」です。坪単価とは、1坪(約3.3平方メートル)あたりにかかる工事費用を指します。
一般的に、クリニックの設計から施工まで一貫して行う工事費用の坪単価は40万円から70万円程度となっています。(居ぬき物件で工事面積が少なければ、割合に応じて安価になります)
※昨今の物価上昇および人件費の高騰で、2020年頃と比較して10万円程相場が上昇しました。

坪単価や費用相場を決める際のポイントとしては、工事の規模や内容が大きく影響します。例えば、高級感や機能性を重視した内装や、多くの医療機器や設備を導入する場合は、坪単価や工事相場が高くなる傾向があります。また、工事の品質や期間によっても費用が変動します。
クリニックの内装工事においては、予算内で、理想的な仕上がりを完成させるために、早い段階から設計・施工会社に相談することが重要です。設計・施工会社との協力を通じて、具体的な工事の要件や予算に合わせたプランを検討し、円滑な工事進行を図ることが望ましいです。

②物件の種類によっても費用が変動

クリニックの内装工事費用は、物件の種類によって大きく異なります。物件の種類とは、居抜きと新築で大きく分類され、それぞれで費用が異なりますので、それぞれの物件の種類における坪単価や費用相場について見ていきましょう。

・居抜きでのクリニック内装工事の費用相場

「居抜き」とは、前のテナントが残した内装や設備をそのまま利用することを指します。
居抜きでのクリニック内装工事の費用相場は、工事範囲が限られるため一般的に安価になる傾向があります。
物件の状態によって、費用は大きく変わりますが、そのまま使用できる箇所が多ければ多いほど、安価で内装を仕上げることが可能です。

・スケルトン引き渡し(新築)でのクリニック内装工事の費用相場

「スケルトン引き渡し」は、テナント物件で内装が何も作られていない状態から、設備工事を含めてゼロから内装を行うことを指します。
スケルトン引き渡しでのクリニック内装工事の費用相場は一般的に坪単価が40万円から70万円程度とされています。
仮に30坪の物件の場合、費用相場は1,200〜1,800万円になります。自由度が高い反面、規模が広くなり、設備工事が必要となるため、費用も高くなります。建築基準法や消防法などの規制にも留意しつつ、内装工事を進める必要があります。
なお、建築物自体を建てる場合は建築代が別途かかりますので、建築会社と相談の上、費用を検討することが重要です。

③工事内容

クリニック内装工事の坪単価や費用相場は、工事内容によって大きく変動します。工事内容とは、クリニックをどのような仕様やデザインで構築するかという要素を指します。
例えば、以下のような事項が工事内容に影響を与えます。

床材や壁材の種類や品質
照明や空調の設備や機能
受付や待合室のレイアウトや家具
診察室や治療室の数や広さ
スタッフルームや倉庫などの裏方スペースの有無

これらの要素は、クリニックのイメージや機能性を決定する重要なポイントです。高級感や清潔感を演出したい場合は、高品質な素材や設備を選ぶ必要がありますが、それに伴って坪単価や費用相場も上昇することが一般的です。
逆に、シンプルで機能的なクリニックを目指す場合は、デザイン性はやや影響が少ないですが、コストを抑えることができます。クリニック内装工事の坪単価や費用相場を決定するには、自身のクリニックのコンセプトや目的に合った工事内容を選ぶことが重要です。
先生ご自身での決定が難しい場合は、設計・施工会社と協力しながら検討すると良いでしょう。内装工事の専門家は、クリニックに最適な仕様やデザインを提案し、予算に応じて工事内容を調整することができます。
クリニック内装工事の坪単価や費用相場は、工事内容によって大きく変動するということを抑えておきましょう。

2-2.設計実績、施工実績が豊富であるか

クリニック内装は、一般的なオフィスや店舗とは異なり、医療機器や衛生管理などの専門的な知識や技術が必要です。
そのため、クリニックの施工実績が豊富であることは、大切なクリニックを預ける上で非常に重要な選考理由です。
施工実績が豊富な設計・施工会社は、クリニックの特性やニーズに合わせたプランニングやデザインができるだけでなく、トラブルや遅延などのリスクも低減できます。
施工実績を確認するためには、ホームページやパンフレットなどで過去の事例を見ることができます。また、手間はかかりますが、直接施工したクリニックを訪問してみてもよいでしょう。
設計・施工会社の中には、経験や実績が豊富であってもWebサイトに事例が掲載されていない場合もあるので、直接問い合わせてみることも重要です。

2-3.コミュニケーションがスムーズか

クリニックの内装を仕上げるにあたって、先生と設計・施工会社の間で、プランニングから施工まで、細かくコミュニケーションをとることが理想的です。
コミュニケーションが不十分だと、予期せぬ追加費用やスケジュールの遅れなどのトラブルの原因になりかねません。
クリニック設計・施工会社を選ぶ際には、コミュニケーションコストがないかを確認することが重要です。
例えば、
「メールの返信が遅い」
「打ち合わせの日程が合わない」
「以前に伝えた内容が設計・施工会社内で共有されておらず何度も伝える必要がある」
などは、コミュニケーションがスムーズとは言えません。
特に、設計におけるコミュニケーションに関して、細かいやりとりができ、さらにバラバラと伝えた要望をうまく解釈をして設計に反映してくれる設計・施工会社であるかが、円滑にプロジェクトを進める上で重要になります。

2-4.保証、アフターサービスが満足できるものであるか

クリニック設計・施工会社を選ぶ際には、保証やアフターサービスが充実しているかどうかも確認しましょう。クリニックの内装は一度で終わりではなく、定期的なメンテナンスや修理が必要になる場合があります。
保証やアフターサービスが充実している設計・施工会社は、内装工事後も安心して任せることができます。保証やアフターサービスの内容や期間を早い段階で明確にし、将来的なトラブルにもスムーズに対応できるようにしておきましょう。

3.クリニック内装の流れについて

設計・施工会社の選定が完了し、契約を締結させたら、いよいよ工事に取り掛かります。
設計・施工会社を選んで、内装に関しては終わりではありませんので、内装完成までの流れも頭に入れておきましょう。

3-1概算見積

まずは、複数のクリニック設計・施工会社との打ち合わせを行い、工事の目的や予算、スケジュール、デザインなどの提案を受けます。
この段階では、クリニックのコンセプトや機能性、快適性などを考慮した内装プランを作成します。また、必要な設備や什器、照明なども選定します。
クリニック設計・施工会社は、打ち合わせ内容に基づいて、平面図や立面図、パースなどの設計図を作成し、提案します。
設計図を確認し、修正や変更があれば指示します。設計図が確定したら、工事契約を締結し実際に着手していきます。
このプロセスを通じて、先生と設計・施工会社が密に連携し、理想的なクリニック内装を実現するための基盤が築かれます。
円滑なコミュニケーションを通じて、クリニックの内装工事が進行するよう努めましょう。

3-2.会社選定・契約

いくつかの設計・施工会社から提案を受け取ったら、最も内容の良かった会社を選び、契約へと進みます。
契約時には、着手金として一定のまとまった金額が必要となることが多いです。
それ以外の費用は、銀行から融資を受けた後、実際の工事への着工前や、物件の引渡し時に分割して支払うケースもあります。
これは設計・施工会社によって異なりますので、確認をしてください。

3-3.内装工事から完成検査

次に、設計図に基づいて内装工事を開始します。内装工事には、『解体工事』、『造作工事』、『仕上げ工事』などが含まれます。
解体工事では、既存の壁や床などを撤去し、新しいレイアウトに合わせて配管や配線などを移設します。
造作工事では、新しい壁や天井などを造ります。仕上げ工事では、壁紙や床材などを貼ります。また、設備や什器、照明なども取り付けます。
クリニック設計・施工会社は、工事の進捗状況や品質管理などを施主(ビルのオーナなど)に報告します。内装工事が完了したら、クリニック設計・施工会社と施主は、完成検査を行います。完成検査では、設計図と実際の仕上がりを照らし合わせて、不備や不具合がないか確認します。この段階で施主が納得すれば、クリニックの内装工事は正式に完了となります。

3-4.引き渡し

クリニック内装工事の最終段階は、引き渡しです。引き渡しとは、設計・施工会社が施主に対して工事の完成を報告し、工事の品質や仕上がりを確認することです。
引き渡しには、以下の手順があります。

検査: 設計・施工会社は、工事の内容や仕様に基づいて、施工した箇所を一つ一つチェックします。不具合や欠陥、安全性や機能性の確認、デザインや色合いの一致などが行われます。
清掃: 検査が終わったら、設計・施工会社は工事で発生したゴミやホコリなどを清掃します。床や壁、天井だけでなく、隠れた部分も念入りに掃除されます。
引渡し立会: 清掃が終わったら、設計・施工会社は施主に対して工事の完成を報告します。施主は、設計・施工会社と一緒に現場を回り、工事の品質や仕上がりを目視で確認します。不満や不明な点があれば質問し、修正や追加工事を依頼することができます。
引渡し書類: 引渡し立会が終わったら、設計・施工会社は施主に引渡し書類を提出します。引渡し書類には、工事の内容や仕様、保証期間やアフターサービスなどの情報が記載されています。施主は確認し、署名・捺印して受け取ります。
支払い: 引渡し書類を受け取ったら、施主は設計・施工会社に対して工事費用の残金を支払います。支払い方法は現金や小切手、振込などが一般的で、支払い後には領収書や請求書などの証明書を受け取ります。

引き渡しは、クリニック内装工事の最後の仕上げです。先生と設計・施工会社で密なコミュニケーションがとれていれば、どの工程もスムーズに進むでしょう。
引き渡し後も、アフターサービスやメンテナンスなどで設計・施工会社と連絡を取り合うことが必要です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次