クリニック開業に必要な資金はいくら?

本記事では、クリニック開業を検討されている先生や、これから開業をされると決めた先生に対して、
『開業にどれくらいの資金が必要なのか?』
その内訳をご説明し、初期費用を減額させるポイントについてご紹介します。

1.クリニック開業までの流れ

一般的な開業までの実施事項をまとめると、以下のプロセスになります。
①開業するクリニックのコンセプトを整理する
②診療圏分析・競合調査(需要と競合数の把握)
③開業エリアの選定・物件探索・選定
④事業計画の作成
⑤融資先の選定
⑥内装会社の選定・工事の実施
⑦必要医療機器の選定・購入
⑧スタッフ採用
⑨HP制作・Web/リアル広告
⑩保健所等の行政手続き
⑪開業準備(動線確認、スタッフ教育、オペレーション確認等)、内覧会等
詳しくはこちらの記事をご確認ください
クリニック開業におけるコンセプトとは?項目やポイントを解説

2.クリニック開業に資金はいくら必要?何にいくらかかるのか?

一般的なテナント開業に必要な資金の相場は、6,000~8,000万円程度で以下が内訳です。

項目 費用 前提
建物・不動産 内装工事 2,000~3,000万円 40~50坪程度
敷金・礼金 800~1,000万円 家賃10~12ヶ月
医療機器 2,000~3,000万円 一般内科(Xpあり)を想定
備品・什器 500万円 PC、プリンタ、冷蔵庫、洗濯機、棚テーブル等
広告・宣伝、委託費等 500~1,000万円 ロゴ・HP制作、内覧会、チラシ、コンサル等
6,000~8,500万円 運転資金等を借入れる場合、
+2,000万円程度

※診療科や診療内容によって金額は変動します。

3.クリニック開業初期にかかる費用を減らす工夫

上記の費用を自己資金でまかなえる場合は、自己資金で支払ってしまうのも良いですが、銀行の金利が比較的低いことを鑑みると、融資を受けてクリニック開業することも視野に入れておきましょう。(一般的には融資を受けて開業するケースがほとんどです。)
資金調達については別の記事でご紹介しますが、初期費用はできるだけ減らすようにした方がリスクを低くクリニック開業に取り組むことができます。クリニック開業は他業界に比べると倒産や廃業率は低いと言われていますが、初期費用はできる限り抑えましょう。

3-1.開業初期にかかる費用のチェックポイント

開業初期にかかる費用は以下の3点を確認しましょう。

・個人開業なのに最初から拡大し過ぎた診療内容になっていないか?
・導入しようとしている医療機器は本当に必要か?
・内装や建物、立地に凝りすぎていないか?

この3つをしっかり検証することが、クリニック開業費用を減らすために重要です。当たり前のことですが、減額対象を定め、減額できるかを検証するということを繰り返す必要があります。初期費用として高額を占めるのが、「内装工事」と「医療機器」ですので、本記事では、その2つに対象を絞って、減額の工夫点を記載します。
電子カルテやホームページ制作、広告宣伝費等の費用も無駄な出費を抑えなくてはなりませんが、まずは上記の2つを優先して減額検証を行いましょう。

3-2.内装工事費の減額施策

<コンセプトに合った内装・・・といいつつも、まずは無難にいきましょう>

どのようなクリニックにしたいかというコンセプトを最初に検討されると思います。(下記参考記事)
https://paddle-ship.jp/consultation/
そのコンセプトにあった内装にするというのが鉄則ですが、それでも最初に開業をする際はあまりに凝ったデザインや、レイアウトなど奇抜なことはしないことが無難です。
開業を成功させ、資金に余裕が出てきてから分院などで実施していくというのが現実的ではないでしょうか。

<内装は相見積もりが基本>

内装について重要なことは必ず相見積もりをとるということです。
内装工事費用の相場は、業者ごとで異なり、時には業者間で大きく費用が変わることがあります。そのため、一番高額な費用になることを鑑みても、1社で決めるということはあり得ません。必ず相見積もりをとり、工事会社にその旨も伝えましょう。

<居ぬき物件、承継案件の探索>

クリニック開業予定までまだ時間に余裕があったり、開業検討の初期段階であれば、居ぬき物件や承継案件を探してみる価値はあります。
物件を引き継ぐ際の条件など確認すべき事項もありますが、居ぬき物件でも開業の条件の範囲内であるならば、内装費を大幅に削減できますのでまずは物件を探索されてはいかがでしょうか。
医業承継に関しては、承継の手続きなどの諸業務を誰に任せるかなど内装費削減以外の論点も多数ありますので、専門の会社に相談することをおすすめします。

3-3.医療機器の減額施策

<診療内容とオペレーションを検討しておく>

コンセプトとともに、開業後の診療内容をあらかじめ考えておきましょう。
「自由診療をやるか?」
「健康診断のはどんな内容にするか?」
など、個人開業でも保険診療以外の項目で収益になるメニューは当然あります。やること / やらないことを明確にし、診療内容を明確化しましょう。

そうすれば、医療機器として何が必要で、レイアウトをどうするか、看護師さんや事務スタッフは何人必要かを見積もることもでき、物件探索やオペレーションのシミュレーションもスムーズに検討することができます。
医療機器は売上の源泉です。必要以上に導入する必要はありませんが、診療項目を制限する必要があるかは要検討です。看護師さんにて対応できる医療機器は入れておくなどオペレーション面も踏まえて導入するようにしましょう。

<直接メーカーへ問い合わせる>

時間や手間を省くため、薬剤等を卸している会社や医療機器の卸をしている会社に一括で見積もりを依頼するケースもありますが、やはり直接メーカーへ先生自身が問い合わせした方が良いと考えます。
値引きの交渉がスムーズにできる場合もありますし、仲介業者を入れることで紹介料等の費用が発生し、その分上乗せされるケースもありますので、時間の許す限り直接メーカーへ問合わせし導入することをおすすめします。

<リース、中古も視野に入れる>

医療機器を導入する際には、新品の購入以外にリースで導入するか、中古で購入するという方法があります。
リース導入については、また別記事で詳細を記載しますが、目的は初期費用の削減です。
一番の論点は、故障時や不具合が起きた時の保守・メンテナンス費用がどのような契約になるかです。
購入とリースを比較したとき、リースの方が初期費用を抑えられるのは当然ですが、その分、年間費用が高くなるのが通常です。その際、CTやレントゲン等の装置使用回数によって故障率が決まるようなケースですと、保守・メンテ費用も使用回数によって高くなっていくことが想定されます。

「一日何人くらいの患者さんが来院するのか」
「来院する患者数や装置使用回数によって購入が良いのか、リースが良いのか」

以上のことをしっかりと検討することが重要です。自身の開業されるエリアにて、診療圏分析などを活用し、何回稼働すれば医療機器を償却できるかという目線で分析をしてみることをおすすめします。
中古医療機器については、先生の感覚や許容範囲が関わります。全然気にしない先生もいれば、中古は嫌という先生など先生によって意見が分かれます。
洗浄が難しい装置などは中古は避けてもよいかもしれませんが、基本的には中古でも最新機種であれば効率よく購入できます。
ただし、中古の機器は意図したときに市場にないこともありますので、タイミングがあえば中古機器も検討するようにしましょう。

4.まとめ

本記事ではクリニック開業の資金について記載しました。一般的に6,000~8,000万円程度は必要になり、その内訳として大きいのは内装工事と医療機器の費用です。
初期費用は減額するに越したことはありませんが、目標売上達成のために必要なものは導入しなければなりません。そのため、やること/やらないことを明確にすることが重要です。
その上で、さらに減額をするために、相見積もりや直接問い合わせる、居ぬきの探索や中古・リースの検討など、様々な方法で減額するようにしましょう。
どうすれば医療機器の償却を試算できるかわからない、見積もりを依頼するにも手が足りないなど実際に検討するとわからないことや時間が足りないことも発生すると思います。
そこでクリニック開業支援する専門のコンサルタントに話を聞くというのも1つの手段です。
一度話を聞いてみてはいかがでしょうか。

弊社では、開業のコンサルティングを実施しております。もちろん上記の試算も行っておりますし、
先生の想いの壁打ち相手から、開業エリア選定、物件選定はもちろん、事業計画の策定支援も行っております。
開業に際し、フラットに先生の意思決定をサポートさせて頂き、開業後の経営についてもサポートさせて頂きますので、是非一度お話を聞かせてください。

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