クリニック開業におけるコンセプトとは?項目やポイントを解説

一般的な開業までの実施事項をまとめると、以下のプロセスになります。

①開業するクリニックのコンセプトを整理する
②診療圏分析・競合調査(需要と競合数の把握)
③開業エリアの選定・物件探索・選定
④事業計画の作成
⑤融資先の選定
⑥内装会社の選定・工事の実施
⑦必要医療機器の選定・購入
⑧スタッフ採用
⑨HP制作・Web/リアル広告
⑩保健所等の行政手続き
⑪開業準備(動線確認、スタッフ教育、オペレーション確認等)、内覧会等

詳しくはこちらの記事をご確認ください

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この記事では、特に①開業するクリニックのコンセプトを整理するについて詳しく解説いたします。

目次

1.クリニックのコンセプトを整理する時期

開業するクリニックのコンセプト整理は、開業を思い立ったら一番初めにやるべきことです。
コンセプト整理をする重要性は以下で詳細を述べますが、
クリニックのコンセプトがある程度決まらないと、何も決定できません。
物件はどこにするのか、広さはどれくらいか、レイアウトはどうするのか、スタッフはどのような人が必要か、医療機器は何を、どこまでの水準のものを導入するのか、決めることは多数ありますが、それらすべて、先生のやりたいことやどのようなクリニックにしたいのか、に付随します。
つまりこれから決定する全ての意思決定にクリニックのコンセプトが関わります。
ですので、まず最初にクリニックのコンセプトを整理するようにしてください。
具体的には、開業の12ヶ月~10ヶ月前にはある程度整理し、言語化するようにしましょう。

2.クリニック開業におけるコンセプトとは

では、コンセプトとは何か。言葉の意味としては概念や一貫した考え方という意味ですが、クリニック開業におけるコンセプトとは、どのような特徴のあるクリニックにしたいのかを明確にすることです。
もう少し具体的に説明しましょう。
クリニック開業事業に限らず、どんな事業であっても、新しい事業を考える際は以下のような思考で事業コンセプトを考えます。

「なぜ・何のために」
「誰に」
「何を」
「どうやって」

提供するか、ということです。
これをクリニック開業の場合に適用すると、以下の項目を検討することになります。

<検討すべき具体的な項目>

「なぜ・何のために」:先生はなぜ開業したのか、どういう想いや目的があるのか
「誰に」:どのような患者さんか、対象疾患は何か
「何を」:どういう診療を実現したいか、患者さんや地域に何を提供したいか
「どうやって」:標榜科目、開業形態(戸建て、ビル診、医療モール等)、在宅医療や訪問診療も行うか、開業エリアや開業場所の広さなど
特に、「なぜ・何のために」が重要です。経営において、推進する力や熱意、モチベーションは非常に重要です。いくら良いアイデアがあっても、それを推進する人に、意義や熱意がないと中々前に進みません。
ですので、開業において先生自身のモチベーションの根源がどこにあるのかを内省し、振り返るようにしてください。
また「どうやって」は、検討時点では定まっていないことも多く、また変わり得るため、詳細まで詰める必要はありませんが、おおよそのイメージとして想定されている内容を整理されると良いでしょう。

3.なぜ最初にクリニックのコンセプトづくりが必要なのか?

冒頭に申し上げた通り、クリニック開業のプロセスは長期になりますし、決めなければいけない項目が多数あるため、その1つ1つの決断に一貫性があることが重要です。
一貫性を持つためにも、最初にコンセプトつまり先生が最も重視したいことを言語化することをおすすめします。
それが、クリニックの理念にもなりますし、行動指針にもなるため、経営に迷ったときの拠り所として立ち返ることができます。
また、患者さんやスタッフに対しても先生自身がどのようなことを考えているのか、何を目指しているのかを発信ことも重要です。

4.クリニックのコンセプトづくりのポイント

コンセプトづくりのポイントは以下3点です。

・開業の動機を掘り下げる
・どのような診療を行うのかを決める
・やらないことを決める

1つずつ解説します。

4-1.開業の動機を掘り下げる

開業すると今後数十年にわたり、余程のことがない限り辞めることはできません。患者さんやまわりのスタッフ、ご家族のためにも、覚悟と責任感を持つべきだと思います。そして、『クリニック開業の動機・想い』がないとクリニック経営として存続することは難くなるやもしれません。
ですので、まずは「なぜ開業するのか?」その動機を深堀してみましょう。人生において何を実現したいのか、それは勤務医では実現できないのか、自分は何にモチベーションを感じるのかなど、自問を繰り返す必要があります。
自分で納得や言語化できていないことは他の人へ説明することも出来ません。

・ご家族に相談する
・融資を獲得するために金融機関に説明する
・何を目指すのか共感を得るためにスタッフに説明する

クリニックを開業すると、様々な場面で自身の想いを他人へ説明する機会が訪れます。
それらの場面でしっかりと想いや実現したいことを説明できるようにするためにも、まずは自身の開業の動機を深堀し、自身で納得できるようにしましょう。

4-2.どのような診療を行うのかを決める

次に、誰のどんな悩みや課題を解決するための診療を行うのかを検討します。クリニック開業の動機を振り返り、先生ご自身が納得できる診療を提供するのは大前提です。

『誰のどんな課題を解決するのか?』
『誰のどんな課題を解決したいか』

これらを検討することは経営上、最も重要です。診療する患者さんを限定する必要はありませんが、自分の診たい患者さん像をできるだけ具体的に想像し、これまでの経験から自分の強みの診療を掛け合わせ、ターゲットとなる疾患や患者さんをまとめておくようにしましょう。そうすることで、自ずと提供する診療内容が決まり、クリニックの特徴をうち出すことができます。

4-3.やらないことを決める

最後に、他のポイントと少し毛色が異なる説明をします。先生ご自身の実現したいことを言語化するのが難しい場合があります。
その際のポイントとして、ぜひ、自分のクリニックでは”やりたくないこと”、”やらないこと”を決めるよう心掛けてください。
全方位ですべてのことを行うことは無限にリソースや時間があれば可能ですが、実際には不可能です。
自分の実現したい対象を明確することや全方位といえどまずは何から行うかの優先順位を決めることは、やらないことを決めることと同義です。エビデンスの不確かな医療は行わない、不要な薬は処方しない、などやらないことを明文化することもまたコンセプトを定める上で非常に重要です。
ご参考頂ければ幸いです。

5.まとめ

以上、クリニック開業におけるコンセプトの考え方のポイントについて記載しました。

開業準備や開業後の長い経営の指針としてクリニックのコンセプトは非常に重要です。
開業すると決めたら、まずはコンセプトづくりから始めましょう。

また、コンセプトづくりのためには、先生自身が、なぜ開業を検討されているのか、開業して何を実現したいのかを自問し、先生の想いに共感する人を増やす、あるいは他の方へ説明するためにも、整理されたコンセプトをぜひ「言語化」するようにしましょう。

弊社では、開業コンサルの一環で、コンセプトづくりのご支援を実施しております。
先生の想いの壁打ち相手から、開業エリア選定、物件選定はもちろん、事業計画の策定支援も行っております。
開業に際し、フラットに先生の意思決定をサポートさせて頂き、開業後の経営についてもサポートさせて頂きますので、是非一度お話を聞かせてください。
宜しくお願い致します。

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