クリニック開業で集患を成功させる方法とは?

本記事では、開業を検討されている先生、これから開業をされると決めた先生に対して、クリニック開業において開業前から集患を考える必要性や成功させる方法についてご説明します。

1.クリニック開業までの流れ

一般的な開業までの実施事項をまとめると、以下のプロセスになります。

①開業するクリニックのコンセプトを整理する
②診療圏分析・競合調査(需要と競合数の把握)
③開業エリアの選定・物件探索・選定
④事業計画の作成
⑤融資先の選定
⑥内装会社の選定・工事の実施
⑦必要医療機器の選定・購入
⑧スタッフ採用
⑨HP制作・Web/リアル広告
⑩保健所等の行政手続き
⑪開業準備(動線確認、スタッフ教育、オペレーション確認等)、内覧会等

詳しくはこちらの記事をご確認ください。
クリニック開業におけるコンセプトとは?項目やポイントを解説

この記事では、⑨広告戦略を検討する際に必要な集患の考え方について詳しく解説いたします。

2.集患とは?

一般的に店舗に顧客を集める活動を「集客」と言われますが、クリニックでは患者さんが自院に来院してもらう活動の事を「集患(しゅうかん)」と呼んでいます。
集患は医療業界におけるマーケティング活動と言えます。

疾患や症状を持つ患者さんを”集める”という表現は個人的には好きではないですが、経営として捉えた場合に顧客を増やす活動は重要で、集患という言葉が広く認知されているため本記事でも集患という言葉でご説明します。

3.クリニックの開業前から集患を考える重要性

なぜ開業前から集患が重要かと言うと、もちろん開業後の初期段階から患者さんに来院してもらうことで、経営の基盤をつくり、スムーズに経営を安定させるため、ということは言えます。
ただ、その結果の目的だけではありません。集患を検討するプロセスも重要ということです。
どんな患者さんを診たいかを明確にし、その患者さんに来てもらうためにはどうしたら良いかを考えることで、開業動機や自身の想い・実現したいことを改めて内省する機会にもなるからです。

内省することの効果や重要性については以下の記事で詳細を紹介しております。是非ご確認ください

クリニック開業におけるコンセプトとは?項目やポイントを解説

4.集患を成功させる方法とは?

では、集患を成功させる方法についてご説明します。

一般的にマーケティングを考える際には、
自社の商品/サービスを、「①なぜ・何のために」、「②誰の、どんな課題に対し」、「③どんな価値(解決策)を」、「④どのようにして」提供するかを考えます。

本記事の前半では、「①なぜ・何のために」、「②誰の、どんな課題に対し」について述べたいと思います。
結論としては、集患する「対象」を明確にすることが最重要です。
どんな広告を出すかという対策を検討することも重要ですが、「誰」もしくは「課題」が定まっていないと、やみくもな広告によるコスト増が起こったり、効果確認/評価が難しくなるなど、なんだかわからないけど失敗したということにもなりかねません。まずは集患したい対象を明確にしましょう。

それでは、各項目に対するポイントをご説明します。

①「なぜ・何のために」:市場や法規制、競合などの外部環境の変化に対し、自身の実施したいこと、診療技術あるいは病院とのつながり、人材など内部のリソース面における強みや弱みを把握し、なぜその診療や事業を行うのか検討することです。(検討手法例:PEST分析、SWOT分析、VRIO分析など)

ポイントは、上記のように開業動機や自身の想いなど、実施したいことや患者さんを含めた、市場で求められているか、という視点が重要です。

例:周辺地域で夜間まで診療しているクリニックがないため、患者さんは夜間に行くところがなく困っていると思われる。また周辺病院にも負荷がかかっていると考えられるため、自身のリソースを割いて、夜間診療を実施し、地域の患者さんを救いたい など

②「誰の、どんな課題に対し」:来院してほしい/救いたい患者さんは誰かをまずは明確にします。そして、その患者さんはどんな行動を日々とっており、そのプロセスごとにどんな課題を感じているかをできるだけ具体的に想像します。次に、そのプロセスにおいて、どのような接点を持てるかを検討していきます。(検討手法例:ペルソナ分析、STP分析、カスタマージャーニーなど)

ポイントは、患者さんの属性(職業、家族構成、所得層、居住地など)や価値観(ライフスタイル、好み、判断に影響を与える媒体や人など)など、できるだけ具体的に想像することです。具体的にすることで、患者さんの課題(仮説)が、より具体的に見えてきます。

例:夜間のタクシードライバーさんの心疾患・胸痛を診たい。不規則になりがちな生活スタイルで、ついつい医療機関へ行くことがおっくうになっている。夜間まで診療時間を拡張することで、仕事の合間で来院頂くことができる など
③④については、次頁で詳しくご説明いたします。

まとめ

以上、クリニック開業における集患のポイントについて記載しました。
集患を開業前から検討することは、開業後、スムーズに経営を安定させるため、という結果の目的だけではありません。集患を検討するプロセスも重要です。
どんな患者さんを診たいかを明確にし、その患者さんに来てもらうためにはどうしたら良いかを考えるプロセスこそが、自身のクリニックの経営を考えることと同義です。ぜひ開業前から集患について検討してみるようにしましょう。
検討の方法は以下の4点を考えることです。
「①なぜ・何のために」、「②誰の、どんな課題に対し」、「③どんな価値(解決策)を」、「④どのようにして」提供するか。
本記事では、①②について述べました。最重要ポイントは集患する「対象」を明確にすることです。「対象」は必ずしも”人”だけではありません。どんな症状や課題を持つ人なのか、背景や状況はどうか、その対象をできるだけ具体化し、明確にしましょう。
また、いわゆるマーケティングには様々な手法がありますが、シンプルに①~④を考えてみるようにしましょう。