クリニック開業はコンサルに相談するべきか?コンサルの選び方とは

この記事では、クリニックの開業を検討しているものの、
・「何から始めるべきか?」
・「誰に相談すべきか?」
・「コンサル会社に相談すると何がいいのか?」
という悩みを抱えている先生にむけて、
①開業前に実施すること
②その検討のポイントおよび、クリニック開業をコンサルする会社の種類
③コンサル会社に相談すべき理由や支援内容
④クリニック開業コンサル会社を選ぶポイント
以上について解説します。

目次

1.クリニック開業までに実施すること

1-1.現在の状況

一般的に、開業を検討されている先生は、通常の勤務をしています。
そんな中で、経験したことのない事を考えなければならないため、準備をする時間的余裕がない状態だと思います。
また、クリニック開業をするにあたって、色々な業者から営業を受けたり、様々な意思決定に迫られる、などの心理的ハードルも高くなります。
このような要因で、先生ご自身でクリニック開業の準備をするとなると、なかなかスムーズに進まない可能性があります。

1-2.クリニック開業に至る全体像の把握

勤務しながら、クリニック開業を検討する中で、まず開業までに何をする必要があるのか、『全体像を把握し、検討項目を整理しておくこと』はそのようなハードルを下げ、効率化できます。
一般的な開業までの実施事項をまとめると、以下のプロセスになります。

①開業するクリニックのコンセプトを整理する
②診療圏分析・競合調査(需要と競合数の把握)
③開業エリアの選定・物件探索・選定
④事業計画の作成
⑤融資先の選定
⑥内装会社の選定・工事の実施
⑦必要医療機器の選定・購入
⑧スタッフ採用
⑨HP制作・Web/リアル広告
⑩保健所等の行政手続き
⑪開業準備(スタッフ教育、オペレーション確認等)、内覧会等

このように、クリニック開業までには数多くのプロセスを踏む必要があります。そして、現在の業務をしつつ、先生が一人で全て行うことは非常に困難です。
そこで、クリニック開業を相談されるという先生が多くいらっしゃいます。

2.クリニック開業までの検討のポイント

2-1.クリニックのコンセプトを考える

先ほどのプロセスの中で一番重要な点は、先生ご自身が「何がしたいのか?そして何を/したくないのか?」を整理することです。
基本的には今後数十年、先生ご自身には、クリニックを運営していく責任があります。
そのため、まず先生ご自身が開業を通して何のために何がしたいのかを振り返るとともに、一緒に賛同してくれるスタッフや患者さんのためにも、「先生ご自身のクリニックはどういうクリニックか?」ということを言語化しておく必要があります。
そのクリニックのコンセプトは今後長年にわたって大切にしたいことであり、経営判断に迷った際の道しるべになります。
振り返る際のポイントとしては、実現可能性の観点はあまり重要ではなく、自分のモチベーションの根源を探っておくことが重要です。

「お金をたくさん稼ぐ」
「社会的地位を得る」
「世の中ににインパクトを与えたい」
「もっと多くの人を救いたい」

何でもいいので、本音を言語化することが大切です。そのもとで、それを実現しようとした場合、どうすれば近づけられるかを次に考える、そのような思考プロセスで整理されてはいかがでしょうか。

2-2.クリニック開業の「場所」と「仲間」

次に重要なのが、「場所」と「仲間」です。
一般的に最初に訪れる重要な意思決定が「場所」の選定です。
どんな診療を行うかによって場所を選ぶのが一般的ですが、『受療人口と競合数のバランスから収益性の良いエリア』を検討したり、または『先生ご自身の住まいと近いエリア』や、『交通の便が良く、行きやすいエリア』などで選ばれる場合もあります。
エリアが決まれば、そのエリアに具体的な物件があるかどうかを探索する、という流れで選定していきます。
次に重要なのが「仲間」です。
一般的に、クリニック運営は医師一人ではできるものではなく、診療点数の算定や看護業務、検査業務など複数のスタッフによって運営していきます。
クリニック開業時のメンバーは先生ご自身の知り合いや知り合い伝手で紹介頂くなど、リファラルで採用するケースも多いと思います。ですので、クリニック開業をすると決め、時期をあらかた定めたら、スタッフの採用活動を始められることをおすすめします。
先生の置かれている状況に応じて、重要事項や検討の優先順位は変わりますが、上記は共通して最重要論点です。是非開業されると決めたら、やりたいこと・場所・仲間を検討し始めましょう。

3.クリニック開業コンサルティングとは

3-1.クリニック開業コンサルティングの役割

冒頭でも申し上げましたが、クリニック開業を決めた先生はその時点では別の場所で働いていることがほとんどです。ですので、時間的余裕がない先生が多く、新しいことを考える、決めることへの不安もあると思います。その際に相談する相手が、開業コンサルタントです。
開業コンサルティングとは、一般的に以下を指します。

・開業する先生の意思決定をサポートすること
・様々な情報を収集し共有すること
・収集した情報の分析やその結果から見える示唆を提供すること

具体的な進め方としては、「どのようなクリニックにしたいか?」などの開業への想いや医療知識は、もちろん開業される先生の意見のもと活動し、経営目線での知識や提言をコンサルが行うなど役割分担をもって開業を進めていきます。

先生の頭脳と手足、両面のサポートを推進することが、クリニック開業コンサルティングであると考えています。

3-2.コンサル会社の種類

世の中には、開業をサポートするコンサルティング会社が大きく2種類あります。
それぞれのメリット/デメリットをまとめると以下の表のようになります。

種類 概要 メリット デメリット
有料コンサル 依頼料を受け取り、コンサルティング業務を専業で行う ・発注を目的とした支援ではないため、フラットな意思決定をサポートできる

・開業後の依頼も見据えているため、開業後の経営まで考えた支援を行う

・依頼料が100~300万円前後と比較的高額

・開業サポート内容がイメージしにくく、依頼するメリットが測定しにくい

無料コンサル 薬局、不動産、税理士、医療機器などのクリニックと利害のあるプレーヤーが、開業後の本業への利益のために開業を支援する ・無償のため気軽に相談できる

・本業部分に高い専門性を持つ

・本業サービスへ発注することありきで検討するケースが多いため、フラットな意思決定が難しい

・開業後の経営は見ない場合が多いため、単発支援になりやすい

4.クリニック開業コンサル会社を選ぶ時のポイント

4-1.そもそもコンサル会社に相談する必要があるの?

先生には時間的余裕がなく、新しいことを考えたり、決めることへの不安があると申し上げました。その意味で、開業コンサルに相談するのも1つの手です。
また実際に、国内では、年間9,000件以上※1の診療所が開業されていますが、医業承継等を除く新規開業で9割の医師が開業支援サービスを利用れています。※2
そのため、先述の通り有料/無料コンサルには一長一短がありますが、どちらも話を聞くのは無料ですので、一度お話を聞かれることをおすすめします。

※1 出典:令和3年 厚生労働省「医療施設(動態)調査」P32
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/21/dl/11gaikyou03.pdf
※2 出典:メドピア株式会社 2019年2月4日 PRTIMESの記事参照
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000165.000010134.html

4-2.開業コンサルを選ぶポイント

開業コンサルタントは先生のパートナーとも呼べる重要な存在です。だからこそ実績やサポート内容を踏まえて、慎重に選ばなければなりません。そこで最後に、コンサル会社を選定するポイントについて記載致します。

◆実績やノウハウがあるか

当然ですが、実績が豊富で、ノウハウが蓄積されているコンサル会社を選ぶのが良いでしょう。
ただし、会社として実績やノウハウがあっても、担当者によっては期待していたパフォーマンスを発揮されない可能性がるため、実際に担当される方を紹介頂くなど、慎重に選ぶことをおすすめします。
ノウハウに関しては、特に重要なのは、上記検討のポイントで紹介した物件選定の考え方や事業計画の検討です。先生のやりたいことやクリニックコンセプトに則し、物件を探索するエリア選定や競合の見方、予想患者数の算出ロジックなど、「場所」に関するノウハウを保有するコンサル会社を選ぶべきでしょう。

◆先生の立場に立った支援か

クリニック開業において、不動産や医療機器、内装業者など関連する企業は多岐にわたります。そのため、先生は様々な営業や提案を受けることになります。
そこで、それらの企業の利害や提案の背景などを鑑みたうえで、フラットな目線で助言や情報提供してくれるコンサル会社を選ばれるのが良いでしょう。
言い換えれば、自社の立ち位置で意見するのではなく、本当の意味で先生の立場に立った意見をするコンサル会社を選ぶべきです。

◆開業後の経営サポートも見据えてくれるか

クリニック開業のコンサル会社には、開業前の支援にとどまるところが多く存在します。先生のクリニック経営の事業計画次第では、開業前の支援のみで十分な場合もあるでしょう。
ただ、いくら先生やコンサルタントが優秀でも、開業後に実際に計画通り進められるかは不確実です。しっかりとした計画は立てる一方で、計画とずれた場合に挽回策を実施することも必須です。
そのため、できれば開業後の経営支援も見据えてコンサル会社を選ばれる方が良いと思います。

◆信頼できる「仲間」かどうか

最後は、コンサルタント自身を信用できるか、ストレスなく付き合える人かどうか、という人と人の話です。「信用のある会社で実績もあり、申し分ない提案をしてくれるのだけど、なぜか少し違和感がある」、「気軽には相談しにくい」など、先生自身が感じるコミュニケーション上の違和感については、今後末永く付き合っていくパートナーとしては重要な論点です。無料の相談であれば時間的拘束以外に実害はないのかもしれませんが、有料の場合は特に重視されてはいかがでしょうか。

4-3.開業コンサルへの相談方法

最後に具体的にコンサル会社へ相談する方法について記載します。
知り合いから紹介を受ける場合は別として、初めて相談する場合、いくつかのコンサル会社に連絡しましょう。
手順としては、Webサイト等を閲覧し会社を選定し、気になった会社へ電話あるいはWebサイト等の問い合わせフォームを活用し連絡します。
その際、すぐに電話しても良いですが、自身の頭の中を整理する意味合いでも、以下を意識すると、より具体的な回答が得られると思います。

・開業の背景、およその開業時期
・開業エリアの想定、その理由
・開業メンバーの想定
・標榜科目、診療したい項目など
・コンサル会社への質問内容(何をどうやって支援してくれるのか、その費用など)

先生の置かれている状況や制限、想定について、先に伝えておいた方が、より具体的な支援方法を立案してくれます。
また、そういった投げかけをする中で、上記4-2で述べた、信頼に足る人(・会社)か、コミュニケーション上の違和感がないかなど、HPを閲覧しているだけでは得られない情報を収集します。
そういった情報収集を踏まえ、今後の付き合いができそうなコンサル会社から活動の進め方、費用感などの提案を受けて、要不要も含めて決めるようにしましょう。

5.まとめ

クリニック開業をすると決めたら、何から始めればよいのかわからなく、時間的な余裕もない中で、不安なことも多いと思います。
まずは開業までの実施事項の全体像を先生ご自身でも把握し、どの部分のサポートが必要/不要かなど整理されるとともに、開業コンサルに一度話を聞いてみてはいかがでしょうか。
弊社では、有料コンサルを実施しております。
先生の想いの壁打ち相手から、開業エリア選定、物件選定はもちろん、事業計画の策定支援も行っております。
開業に際し、フラットに先生の意思決定をサポートさせて頂き、開業後の経営についてもサポートさせて頂きますので、是非一度お話を聞かせてください。
宜しくお願い致します。

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