クリニックの検索順位を上げるには?検索順位UPとSEO、MEOの実践方法

目次

はじめに|クリニック経営と検索順位の関係

「検索順位」という言葉を耳にする機会が増えたものの、その重要性や仕組みを正しく理解しているクリニック経営者はまだ多くありません。
特に開業直後のクリニックでは、どれだけ診療に自信があっても、患者さんに“見つけてもらえなければ”来院にはつながりません。

いまや患者さんの多くは、Googleなどで「〇〇駅 内科」「△△市 皮膚科」と検索してクリニックを探します。このとき、自院が検索結果でどの位置に表示されるか──つまり「検索順位」が、集患の成否を大きく左右します。

本記事では、

  • 検索順位とは何か
  • なぜ上位表示が重要なのか
  • 検索順位を上げる方法(SEO対策)

について、クリニック経営に役立つ視点で解説します。

この記事の著者:新井貴博

株式会社パドルシップ 代表取締役
京都大学卒、京都大学大学院修了
総合電機の技術職、日系コンサルティング会社で新事業企画、ベンチャー支援等の経験を経て、2023年に株式会社パドルシップを設立。江戸川区のクリニック立上や戦略立案、集患を経験し、現在も経営に参画。



検索順位とは?

検索順位とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで特定のキーワードを検索したときに、Webサイトが表示される順番のことです。
たとえば「〇〇駅 内科」と検索した場合、最も関連性が高いと判断されたページが上位に表示されます。

なぜ検索順位が重要なのか?

理由はシンプルで、上位にあるほどクリックされやすいからです。
実際のデータでは、

  • 1位:約40%のクリック率
  • 2位:約18%
  • 3位:約10%
    と、検索結果の上位と下位では、患者さんがサイトを訪れる確率に圧倒的な差があります。

出典:Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2024

さらに、検索結果の2ページ目以降になると、クリック率はほぼゼロに近づきます。
つまり、検索順位=患者さんとの接点の量を決定づける重要な指標なのです。


クリニック検索でよく使われるキーワードとは?

患者さんがクリニックを探すとき、検索エンジンで使う言葉にはいくつかのパターンがあります。その多くは、「地域名」+「診療科」や「症状」などを組み合わせた検索です。ここでは、実際によく使われる5つのタイプをご紹介します。

① 地域名+診療科名

最もよく使われる基本の検索パターンです。
患者さんは、「家や職場の近くで受診できるか」を重視するため、地域名と診療科名を組み合わせて調べます。

例:

  • 「〇〇駅 内科」
  • 「△△市 小児科」
  • 「□□区 皮膚科」

特徴:

  • 検索ボリューム(検索回数)が多い、集患の基本ワード
  • 開業するエリアで上位表示されることが極めて重要
  • Googleマップ検索(MEO)と強く関係しており、地域密着型のSEO対策が必須

② 地域名+症状名

症状をきっかけに検索する患者さんも非常に多いです。「どの診療科を受診すべきかわからない」という場合、この検索が使われます。

例:

  • 「〇〇市 発熱」
  • 「□□駅 花粉症」
  • 「△△市 動悸 めまい」

特徴:

  • 季節性の疾患(花粉症、インフルエンザなど)は検索数が急増するタイミングがある
  • SEO記事(症状解説+受診案内)で対策しやすく、集患に直結

③ 地域名+特定のサービスや検査

予防接種や健康診断など、目的が明確な患者さんが検索します。意図が強い=来院につながりやすいキーワードです。

例:

  • 「△△市 健康診断」
  • 「〇〇駅 インフルエンザ予防接種」
  • 「□□市 PCR検査」

特徴:

  • 予約や来院の確度が高い
  • 季節性・キャンペーン時期に合わせて記事を追加すると効果的
  • 広告出稿との相性も良い

④ 診療科名+地域+口コミ・評判ワード

患者さんは診療の質や対応の良さを気にします。そのため、「口コミ」「評判」などの言葉を加えて検索するケースが増えています。

例:

  • 「〇〇駅 内科 評判」
  • 「△△市 小児科 口コミ」

特徴:

  • Googleビジネスプロフィール(MEO)での評価が集患に直結
  • 口コミ対策(返信や評価向上)とSEOをセットで強化することが重要

⑤ 地域名+急患対応・夜間診療

「仕事帰りに受診したい」「夜に急に体調が悪くなった」という場合、この検索が使われます。

例:

  • 「〇〇市 内科 夜間」
  • 「□□駅 急患対応」

特徴:

  • 検索ユーザーは緊急性が高く、即時来院の可能性が大
  • 時間外対応や診療時間をサイトで明確に伝えることが差別化につながる

キーワード戦略の重要ポイント

一般的に、患者さんは病名を正確に知らないことが多いため、「病名」よりも「症状」や「診療科」で検索する傾向があります。
したがって、「診療科・症状・サービス」×「地域名」を基本にSEOを設計することが効果的です。

さらに、競合がまだ対策していないニッチなキーワード(例:「△△市 禁煙外来」「〇〇駅 子宮頸がん検診」)を見つけて対策することで、効率的に検索順位を上げることができます。


検索順位を上げるには?SEO対策の基本

検索順位は、Googleなどの検索エンジンが「このページはユーザーの検索意図にどれだけ合致しているか」を判断して決まります。
順位を上げる=検索エンジンと患者さんの両方にとって価値の高いページにすることが重要です。

では、どんな施策を行えば良いのでしょうか?クリニックのWeb集患におけるSEOの基本は次の5つです。


① コンテンツの質を高める(患者視点+専門性)

検索エンジンは「役立つ情報」を高く評価します。
患者さんが知りたい情報を、正確かつ分かりやすく提供することが重要です。

以下を意識し、ホームページを充実させると検索性が高まります。

  • 症状別解説ページを作成(例:「発熱のときに受診すべきか?」)
  • 診療案内ページを充実(例:「内科で対応できる疾患一覧」)
  • 医師監修の表記を明記(信頼性アップ)
  • 写真・図解を適切に使用して理解しやすくする

Googleが重視するE-E-A-T という指標

GoogleがホームページなどのWebサイトを評価する際の視点が公開されています。

E-E-T-Aというのは以下の頭文字をとった重要な指標です。

  • Experience(経験):臨床経験や症例紹介を記載
  • Expertise(専門性):疾患や治療法の正確な情報
  • Authoritativeness(権威性):学会所属、論文実績
  • Trust(信頼性):連絡先・診療時間・口コミ対応など

② 適切なキーワードを選ぶ(地域+診療科・症状)

患者さんは「地域+診療科」「地域+症状」で検索します。
例:

  • 「〇〇駅 内科」
  • 「△△市 花粉症」
  • 「□□市 健診 予約」

実践ポイント

  • ターゲットとするキーワードを決める
  • ページタイトル(titleタグ)に自然に含める
  • 見出し(H1、H2)や本文にも散りばめる
  • 不自然な詰め込みはNG(評価が下がることがあります)

患者さんが検索する言葉の中で、自身のクリニックとして診たい患者さんに該当する言葉を選定することが重要です。
見出しやページタイトルなどをどのようにすると、評価が高まるかは少し専門的であるため、ご自身のホームページを制作した会社や、弊社のようなSEOを専門とする会社に聞くことも重要だと思います。


③ 内部SEO対策を徹底する(サイトの基本設計)

内部SEOとは、ホームページ自体を検索エンジンに好まれる構造にすることです。

重要な項目

  • タイトルタグとメタディスクリプション
    → 検索結果で表示される文章。患者目線でクリックしたくなる表現に。
  • 見出しタグ(H1~H3)の最適化
    → 内容の階層を整理。SEO評価+読みやすさ向上。
  • URL構造をシンプルに
    → 例:「/naika」「/shonika」など。
  • スマホ対応(レスポンシブデザイン)
    → モバイルフレンドリーはSEO評価に必須。
  • ページ表示速度の改善
    → 画像圧縮や不要スクリプト削除で高速化。

こちらも専門的であるため、専門業者に聞くことをおすすめします。


④ ローカルSEO(MEO)を強化

昨今、若い世代を中心にGoogleMapのような地図でクリニックを検索する患者さんが増えています。ですので、通常のGoogle検索だけではなく、クリニック集患では、Googleマップ上での表示(MEO対策)の重要度が増しています。
また、検索結果の「地図枠(ローカルパック)」に出ると、認知度と予約率が大きく上がります。

実践ポイント

  • Googleビジネスプロフィールに正確な情報を入力
  • 診療時間・住所・電話番号(NAP情報)を統一
  • 写真を定期的にアップロード
  • 患者さんからの口コミ対応を丁寧に

地図対策(MEO)単体で業者に依頼するのではなく、検索順位対策(SEO)と連動しているため、合わせて相談することをおすすめします。


⑤ 継続的な情報更新とSEO記事追加

SEOはある程度の順位を確保するとサイトの力が増し、一定の水準を保つことは可能です。ですが、更新を怠ったり、放置していると新たな競合サイトの台頭や、情報の古さなどによりGoogleからの評価が低下することも考えられます。

ですので、SEOは一度設定すれば終わりではありません。Googleは「新鮮で有益な情報」を評価するため、定期更新が必須です。

更新コンテンツ案

  • 季節性の疾患(花粉症、インフルエンザ)
  • 予防接種や健診のお知らせ
  • 新しい検査・治療の導入情報

ブログやお知らせ欄を活用し、「患者の疑問に答える記事」を積み重ねることで、自然検索流入が増えますので、積極的に更新することをおすすめします。


検索順位と集患の関係:成功するクリニックの特徴

検索順位は、クリニックの集患力を大きく左右する要素です。現代の患者行動を踏まえると、検索で上位に表示されることは、物理的な立地と同じくらい、場合によってはそれ以上に重要です。

なぜ検索順位が集患に直結するのか?

  1. 検索の第一ページに載らないと見てもらえない
    Google検索のクリック率データでは、
    • 1位:約40%
    • 2位:約18%
    • 3位:約10%
      という結果が出ています。
      一方で、10位以下(2ページ目以降)のクリック率は1%未満
      つまり、1ページ目に載るかどうかが、集患数を大きく左右します。
  2. 患者の多くはスマホで“近くのクリニック”を検索
    「◯◯駅 内科」「△△市 小児科」など、地域+診療科で検索する行動はもはや当たり前です。
    これに対して検索順位が低いクリニックは、患者さんの選択肢にすら入らないのが現実です。

検索順位が高いクリニックの成功パターン

① ローカルSEOを徹底している

ローカルSEOとは、「地域名+診療科」で検索した際に、Googleマップの検索結果(ローカルパック)に表示されやすくする取り組みのことです。

  • Googleビジネスプロフィールを常に最新に保つ
    → 診療時間、電話番号、住所などを正確に記載。臨時休診や新サービスの情報も随時更新します。
  • 口コミの獲得と返信を丁寧に対応
    → 良い口コミは信頼性を高め、検索結果にも良い影響を与えます。返信で患者さんとの信頼関係も築けます。
  • サイト内に地域名+診療科を含める
    → 「〇〇市 内科」「△△駅 小児科」など、検索されやすい組み合わせをタイトルや見出しに自然に組み込みます。

② SEOコンテンツを継続的に発信している

SEOは一度設定すれば終わりではありません。新しい情報を発信し続けることで、Googleからの評価が高まります。

  • 診療案内以外のコンテンツを追加
    → 「高血圧とは?」「花粉症のセルフケア」など、患者さんが調べたい症状・病気の情報を丁寧に解説します。
  • 季節性の話題を取り入れる
    → 花粉症、インフルエンザ、熱中症など、季節ごとに関心が高まるテーマで記事を出すと、検索流入が増えます。

③ ホームページの設計が“SEO対応済み”

検索順位を上げるには、見た目だけでなく、ホームページの裏側の設計も大切です。

  • タイトルや見出しにキーワードを自然に入れる
    → 「診療案内」だけではなく、「〇〇市の内科・小児科診療案内」という形にします。
  • スマホ対応とページ表示速度を最適化
    → 患者さんの8割以上はスマホで検索します。読み込みが遅い、文字が小さいHPは離脱率が高く、SEOにも悪影響です。

④ 開業初期はGoogle広告で露出を確保

SEOは時間がかかる施策のため、開業してすぐに集患をしたい場合、広告の活用が効果的です。

  • 開業直後はGoogle広告で即時集患
    → 「〇〇駅 内科」「△△市 小児科」などのキーワード広告で、検索結果の最上部に表示されます。
  • 並行してSEOを育てる
    → 半年ほどでSEOの効果が出始めるため、広告を徐々に減らし、自然検索で安定的に集患できる状態を目指します。

実際、パドルシップでは、「駅から徒歩15分」という不利な立地の内科クリニックを支援し、開業初期からSEO対策を実施した結果、3ヶ月でWeb経由の来院比率を20〜30%増加させました。
検索順位を上げることで、物理的な立地のハンデをカバーできることが証明された事例です。

事例のまとめ

課題:駅から徒歩15分と立地条件が悪く、通りがかりの患者が見込めない

施策:開業前からSEOを意識したHP構築+開業後はGoogle広告を配信

結果

  • 開業3ヶ月でWeb経由の来院比率25%超
  • 売上ベースで20〜30%増加
  • 「◯◯駅 内科」で自然検索1ページ目を獲得

まとめ|検索順位は「患者さんに見つけてもらう第一歩」

クリニックの集患は、「どれだけ検索で見つけてもらえるか」に大きく左右されます。
どれほど良い診療をしていても、ホームページが検索結果の下位にあれば、患者さんの目に留まることはほとんどありません。

検索順位を上げるには、短期的な施策(広告)と中長期的な施策(SEO・MEO)を組み合わせることが大切です。

  • 開業直後:Google広告で認知を広げながら、SEOの土台を作る
  • 半年以降:SEOを強化し、自然検索からの流入を増やす
  • 長期的に:「検索で選ばれる医院」というデジタル上の立地を確立する

これは、リアルな立地条件を変えるよりもコントロールしやすい施策であり、開業初期のうちから始めることで大きな差がつきます。

パドルシップでは、SEO対策・Google広告・MEO・ホームページ制作を一気通貫でサポートし、
「検索され、選ばれるクリニック」を目指す先生方を伴走支援しています。

「検索順位を上げたい」「Webからの集患を強化したい」とお考えの先生は、ぜひ一度ご相談ください。
早めの取り組みが、将来の安定経営につながります。

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