「SEOって結局いくら?」クリニック向け費用相場と成功のポイントを解説

開業医として良質な医療を提供することは当然重要ですが、経営者としての視点を持ち、自院を継続的に成長させていくこともまた欠かせません。
近年、都市部を中心にクリニック間の競争は激しくなっており、Webによる集患対策を行っていない医療機関にとっては、今後さらに厳しい状況が予想されます。

特に開業前〜開業初期においては、「地域に自院を知ってもらい、選ばれる存在になる」ための手段として、Webを活用した取り組みが注目されています。
ホームページ制作はすでに多くのクリニックで標準化されている一方、検索エンジン上で“見つけてもらう”ためのSEO対策までは十分に取り組めていないケースも見受けられます。

この記事では、クリニックにおけるSEO対策の費用相場や実際の施策内容、またMEOや広告施策との違いや効果的な併用方法まで、Web集患支援を行う立場からわかりやすくご紹介します。

この記事の著者:新井貴博

株式会社パドルシップ 代表取締役
京都大学卒、京都大学大学院修了
総合電機の技術職、日系コンサルティング会社で新事業企画、ベンチャー支援等の経験を経て、2023年に株式会社パドルシップを設立。江戸川区のクリニック立上や戦略立案、集患を経験し、現在も経営に参画。


目次

SEO費用は“広告費”ではなく“中長期の資産づくり”

SEO(Search Engine Optimization)は、検索エンジン上での上位表示を目指し、自院のWebサイトへのアクセスを継続的に増やしていく取り組みです。

リスティング広告のように即時的な集客を図る施策とは異なり、SEOは検索流入を中長期的に積み重ねていくことで、将来的な認知度・信頼度の向上来院数の増加につながっていきます。

特に、「○○駅 内科」「△△市 小児科」といった地域性のあるキーワードで検索された際に上位表示されることは、近隣の潜在患者さんに“見つけてもらう入口”となり、開業初期の安定経営にも直結します。

また、検索結果の1ページ目に表示されるクリニックほど集患効果が高まる傾向があるため、検索順位は「地域の医療選択肢」として見られる重要なポジションでもあります。

SEOとは、まさにこの検索順位を高めるための施策であり、いったん上位を獲得すれば継続的にアクセスを呼び込みやすくなるという特徴も持っています。

したがって、SEOの費用は単なる「広告費」ではなく、クリニックの認知・信頼・来院を育てる“資産づくり”のための取り組みと捉えるのが適切です。


SEO費用の相場と構成

SEO施策には大きく「初期費用」と「月額費用」の2つがかかります。ここではその一般的な相場と具体的な内容をご紹介します。

初期費用(相場:5〜20万円 程度)

SEOの土台を整えるための準備作業として、以下のような業務が含まれます。

  • キーワード設計
    自院の診療科や地域特性に合った検索キーワードを選定。集患ターゲットの明確化にもつながります。
  • 競合分析
    同エリア内の競合クリニックのSEO状況を調査し、差別化ポイントや改善余地を抽出します。
  • WebサイトのSEO診断
    既存のサイトがGoogleの検索アルゴリズムに適合しているかを診断。内部構造や表示速度などの課題を洗い出します。
  • SEO戦略の提案
    対策キーワードに基づいた具体的な運用方針を設計し、コンテンツや内部構造の改善計画を提示します。

月額費用(相場:10〜30万円 程度)

SEOの効果は一朝一夕で出るものではありません。順位上昇とアクセス増加には中長期的な改善の積み重ねが必要です。主な月額サービス内容は以下のとおりです。

  • SEO記事制作(月2〜4本程度)
    診療内容・症状に関する検索ニーズに応じた記事を、E-E-A-T※1に配慮しながら制作・掲載します。
  • 内部対策の実施
    タイトルタグや見出し構造、パンくずリスト、構造化データなど、検索エンジンが情報を正しく理解しやすくするための技術的な修正を行います。
  • 検索順位分析と改善提案
    毎月のキーワード順位やサイト流入状況をレポート化し、戦略の見直しや次の施策を提案します。
  • MEOとの連携支援
    Googleビジネスプロフィールの更新・最適化を併行して行い、地図検索対策も強化します。

SEOの効果が出始めるまでには通常6ヶ月以上の期間を要するケースが多く見られます。断続的ではなく、継続的かつ計画的な運用が成果の鍵となります。

※1:E-E-A-Tとは、Googleがウェブサイトの品質を評価する際の基準で、「Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼性)」の4つの要素の頭文字を取ったもの


MEO・広告・HP制作との違いと併用効果

SEO対策は重要な集患施策のひとつですが、実際のWeb集患では「SEOだけ」に頼るのではなく、MEO(Googleマップ対策)や広告、ホームページ制作と適切に組み合わせることで、より高い効果を発揮します。

ここでは、代表的な4つのWeb施策の違いと、それぞれの特徴について整理します。

各施策の違い(目的・掲載場所・特徴)

施策名主な目的掲載される場所主な特徴
SEO検索エンジンでの自然検索からの上位表示を目指すGoogle検索のオーガニック枠コンテンツを継続的に蓄積することで、長期的に評価が高まる「資産型施策」
MEOGoogleマップや地図検索での上位表示Googleマップ上のローカルパック地域との親和性が高く、比較的短期間で成果が出やすい
広告(リスティング)任意のキーワードで即時的に表示させる検索結果の広告枠(最上部)速効性に優れるが、出稿を止めると効果もゼロになる「即時型施策」
HP制作診療内容や方針の発信、ブランディング自院の公式WebサイトSEO・MEO・広告など全ての集患施策の「受け皿」として機能する基盤

各施策の特性比較(費用感・即効性・資産性)

比較項目SEOMEOリスティング広告ホームページ制作
費用感中〜高(毎月費用がかかる)低〜中(月額で導入しやすい)高(クリックごとの課金)中(初期構築費用+月額保守)
即効性△(育成型。効果が出るまで時間がかかる)◯(1〜2ヶ月で検索順位に反映されやすい)◎(即日表示可能)×(単体では来院につながりにくい)
資産性◎(コンテンツが蓄積し、検索流入が増え続ける)◯(口コミやマップ評価が蓄積する)×(広告停止で即座に流入ゼロ)◎(SEO・広告の情報提供基盤)

なぜ複数施策の併用が効果的なのか?

現代の患者さんは、クリニックを探すときに複数の手段を併用しています。

  • 「○○市 内科」と検索してマップを見て比較
  • 「症状名+地域名」でGoogle検索し、記事内容を読む
  • 広告から公式サイトにアクセスして判断
  • 最終的にホームページの印象や情報量で決定

このように、患者の「認知→比較→来院」の流れは一元的ではなく、多様な経路が絡み合っています。

そのため、下記のように役割を分担しながら、網羅的な導線設計を行うことが理想的です:

  • SEO:自然検索で「症状・診療科 × 地域」などのニーズに対応
  • MEO:Googleマップ上で“行きやすさ”や“診療時間”などを確認するユーザーにアプローチ
  • 広告:開業直後やキャンペーン時などに即効性を発揮
  • ホームページ:すべての情報を受け止めるコンテンツ基盤として機能

特に、開業初期〜半年程度は広告で即時の集患を担保しつつ、SEOで中長期の基盤を築くという戦略が非常に現実的かつ効果的です。


パドルシップのSEO支援サービスのご紹介

私たち株式会社パドルシップでは、開業医・医療法人様向けにWeb集患支援のためのSEO・MEO・HP制作サービス「BUZZ Medical」を展開しています。

提供する主なサービス内容

  • キーワード選定と競合調査に基づいたSEO戦略の立案
  • 医療ライターによるE-E-A-T対応コンテンツ制作
  • 構造化データ、モバイル対応などの内部対策実施
  • MEO運用支援(Googleビジネスプロフィールの最適化)
  • ホームページの新規制作・リニューアル(開業コンセプトに即した設計)
  • 月次レポートと順位チェック、改善提案の報告体制

支援実績の一例

内科系クリニックにおいて、駅からやや距離のある立地条件で開業された先生を支援した事例では、開業初期からSEO対策を実施した結果、わずか3ヶ月で月間売上が20~30%増加しました。

このように、立地などの物理的ハンデをWeb上での適切な情報発信によってカバーし、地域で“見つけられる医院”を実現することができます。


医療広告ガイドラインへの対応

弊社では、厚生労働省の「医療広告ガイドライン(令和5年4月改訂)」に準拠した制作・運用を行っています。

  • 誇張のない事実に基づいた表現
  • 誤認を与えない記述
  • 実績・費用・口コミ等の適切な取り扱い

医療機関様が安心してWeb集患に取り組めるよう、法的にも配慮したコンテンツ運用を徹底しています。


まとめ|SEOは“患者に見つけてもらう”ための基礎づくり

SEOは単なる一時的なマーケティング施策ではなく、長く検索流入を生み出し続けるための基盤づくりです。
費用の大小だけで判断せず、「なぜ必要か」「どう取り組むか」を理解した上で、信頼できる専門業者と連携しながら取り組んでいくことが、自院の魅力を地域に伝える最善の手段になります。

私たちパドルシップは、「先生の想い」と「地域の患者さん」をつなぐWeb戦略を、共に考え、育ててまいります。

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