クリニックのホームページ制作にかかる費用は?相場・内訳・注意点を徹底解説

目次

はじめに

クリニックを開業・運営するうえで、欠かせないのが ホームページの整備 です。診療時間やアクセスの案内だけでなく、患者さんにとっては「このクリニックを受診するかどうか」を決める重要な判断材料となります。

しかし、いざ制作を検討すると「費用はどのくらいかかるのか?」「相場はどれくらい?」「維持費やSEO対策のコストも必要?」と疑問が尽きないのではないでしょうか。

本記事では、クリニックのホームページ制作にかかる 費用相場・内訳・運用コスト をわかりやすく解説します。さらに、ただ作るだけではもったいない SEO・MEOを活用した集患効果を高めるポイント についても詳しくご紹介します。

この記事の著者:新井貴博

株式会社パドルシップ 代表取締役
京都大学卒、京都大学大学院修了
総合電機の技術職、日系コンサルティング会社で新事業企画、ベンチャー支援等の経験を経て、2023年に株式会社パドルシップを設立。江戸川区のクリニック立上や戦略立案、集患を経験し、現在も経営に参画。

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1. クリニックにホームページ(HP)が必要な理由

かつては口コミや看板が来院のきっかけになることが多かったですが、今では患者さんの多くが Google検索やGoogleマップ を利用して医療機関を探します。

  • 「〇〇市 内科」「〇〇駅 皮膚科」など検索する
  • Googleマップで診療所を比較する
  • ホームページで診療科目・雰囲気・院長の考えを確認する

この流れが一般的になっています。

つまり、ホームページは 患者さんとクリニックをつなぐ最初の接点 であり、集患に直結する存在です。
さらに SEO(検索エンジン最適化)やMEO(Googleマップ最適化) を取り入れることで、競合に埋もれず効率的に新患を獲得できます。

具体的には患者さんが予約に至るまでには以下の3つのハードルがあります。

 ①検索しても表示されない      → 存在を知ってもらえない 

 ②表示されてもクリックされない   → 他院に流れてしまう

 ③クリックされても途中で離脱する  → 予約や問い合わせにつながらない

これらを解消するためには、

①②に対しては、

検索にヒットする仕組み(SEO・MEO)を理解し、検索順位を上げる

③に対しては、

HPの中を分かりやすい導線にしたり、魅力的なコンテンツを掲載する(HP改善)が欠かせません。

つまり、クリニックにとってホームページは単なる「看板」ではなく、集患戦略の中心的なツールなのです。


2. クリニックのホームページ制作費用の相場

クリニックのホームページ制作費用は、制作方法やデザインの自由度、搭載する機能 によって大きく変動します。大きく分けて「テンプレート型」「オリジナルデザイン型」「高機能型」の3つがあります。

① テンプレート型制作(20〜50万円)

  • 概要:既存のデザインテンプレートを流用して制作する方法。
  • メリット
    • 初期費用を抑えられる
    • 制作期間が短く、開業準備と並行して進めやすい
  • デメリット
    • デザインの自由度が低く、他院と似た印象になることもある
    • SEO内部施策が十分でないケースがある
  • おすすめケース
    • 開業直後で費用を抑えたいクリニック
    • 小規模で、最低限の情報発信を重視する医院

② オリジナルデザイン型制作(80〜150万円)

  • 概要:ヒアリングを基にゼロからデザインを設計し、ブランディングを意識して制作する方法。
  • メリット
    • 院長の理念や診療方針を反映でき、独自性を出せる
    • 写真や色合いを自由に設計でき、信頼感や清潔感を強調できる
    • SEO内部対策や導線設計も盛り込みやすい
  • デメリット
    • 費用がやや高額
    • 制作期間が2〜3か月程度と長くなる場合がある
  • おすすめケース
    • ブランド力を高めたいクリニック
    • 周辺に競合が多く、差別化を重視したい医院

③ 高機能型制作(150〜300万円以上)

  • 概要:基本的なページ構成に加え、Webページ数が膨大で内部リンク構造も複雑、動きのあるデザインや機能、多言語などに対応した高機能なホームページ。
  • メリット
    • 患者さんの利便性が高まり、予約率や満足度の向上につながる
    • SEOとMEOを強化し、集患効果を最大化できる
    • 将来的に自由診療・健診などの集患にも応用可能
  • デメリット
    • 初期費用が高額
    • 更新や保守に専門的な知識が必要な場合がある
  • おすすめケース
    • 大規模クリニックや複数診療科を持つ医院
    • 外国人患者や自由診療患者の獲得を目指す場合
    • 予約・来院導線を最適化し、効率的な運営を重視する医院

制作費用相場のまとめ

  • テンプレート型:20〜50万円(安価・シンプル・早い)
  • オリジナル型:80〜150万円(差別化・ブランディング重視)
  • 高機能型:150〜300万円以上(集患・利便性を最大化)

どのタイプを選ぶかは、開業の段階・エリア競合の状況・集患の方針 によって決まります。


3. 費用の内訳とランニングコスト

ホームページ制作費用は、完成時に支払う 初期費用 だけでなく、公開後の 運用・更新にかかるランニングコスト も含めて考える必要があります。ここを見落とすと「思ったより維持費が高い」と後悔してしまうケースもあります。


①初期費用(制作時にかかる費用)

  1. デザイン費
    • テンプレート利用なら数万円〜
    • オリジナルデザインなら30〜80万円程度
    • ロゴやカラーデザインも含めて設計する場合は追加費用が発生
  2. コーディング・CMS導入費
    • WordPressなどのCMSを導入する場合、10〜30万円程度
    • 更新性を高めるために必須と考えてよい
  3. コピーライティング費
    • 医療広告ガイドラインを意識した文章作成は専門性が必要
    • 専門会社に依頼する場合、1ページあたり2〜5万円程度
  4. 写真撮影費
    • 院内写真やスタッフ写真は信頼感を高める要素
    • プロカメラマンに依頼すると5〜15万円程度
  5. その他追加機能費
    • 予約システム連携:10万円~
    • オンライン診療機能:20万円~
    • 決済システム機能:50万円~
    • 多言語対応:10万円〜

②運用費用(公開後に毎月かかる費用)

  1. サーバー・ドメイン費用
    • サーバー:月1,000〜2,000円程度
    • ドメイン:年間2,000〜5,000円程度

⇒合計で月換算1,000〜3,000円程度

  1. 更新・保守サポート費用
    • バグ修正やセキュリティ対応、情報更新の代行費用
    • 月5,000〜30,000円程度

⇒土日や祝日対応など「何かあったときにすぐ対応できるかどうか」が重要な視点

  1. SEO・MEO対策費用
    • 検索順位を安定させるための記事更新や内部改善
    • 月8~12万円程度

⇒特に競合が多いエリアでは必須の投資

  1. 広告運用費(任意)
    • Google広告やSNS広告に出稿する場合の費用

⇒月数万円〜数十万円など、予算に応じて調整が可能

③ランニングコストの目安

  • 最低限の維持:月1,000〜3,000円(サーバー+ドメインのみ)
  • 更新・保守も依頼:月1〜3万円
  • SEO・MEO対策まで含める:月8〜12万円程度
  • 広告も運用:月10万円以上

運用体制をどう構築するかによって、月額コストは数千円〜数十万円まで幅があります。


4. 開業予定なら「3か月前のリリース」が理想

多くの先生が「開業日に合わせてホームページを公開すれば良い」と考えがちですが、実はそれでは 集患のチャンスを逃す可能性 があります。

 ①検索エンジンの仕組み

Googleなどの検索エンジンは、新しいホームページを公開してもすぐには上位に表示してくれません。

  • 検索エンジンのクローラーがサイトを巡回
  • コンテンツを評価
  • 検索順位に反映

この一連のプロセスには 数週間〜数か月 かかります。特に新規ドメインの場合は「エイジングフィルター」と呼ばれる期間があり、一定期間は検索上位に表示されにくい傾向があります。

 ②3か月前に公開すべき理由

  • 開業日に検索でヒットする状態にするため
    → 検索評価がつくまで時間がかかるので、3か月前から育てておくことが重要です。
  • 「地域名+診療科目」での検索流入を増やすため
    → 例:「〇〇市 内科」「〇〇駅 皮膚科」など。
    これらのキーワードは開業直後から患者さんが調べるものなので、事前に上位表示を狙っておくと有利です。
  • Googleマップ(MEO)の表示を安定させるため
    → MEOは口コミやアクセス数の蓄積が反映されるため、早めに運用を始めた方が効果が出やすい。

③実際のスケジュール例

  • 開業6か月前:ドメイン取得、制作会社と打ち合わせ
  • 開業3か月前:プレサイト(簡易版ホームページ)を公開、SEO対策スタート
  • 開業1か月前:本公開用のコンテンツを拡充、診療科目ページや院内紹介ページを追加
  • 開業日:本格的なSEOが効き始め、Googleマップでも露出が安定

遅れて公開した場合のリスク

前述の例のようなスケジュールが望ましいと筆者は考えています。遅れた場合のリスクは以下です。

  • 開業したのに検索しても出てこない → 集患の大きな機会損失
  • 開業直後に広告に頼らざるを得ない → 広告費が余計にかかる
  • 競合クリニックに患者さんを取られる

つまり、ホームページは「開業準備のラストではなく、スタート時から動かすもの」
SEOは「即効性ではなく、育てるもの」 であり、

開業日に患者さんが検索したときに“出てくる状態”を用意することが最大の集患戦略

であると言えます。


5. SEO・MEO対策をしなければもったいない

せっかく費用をかけてホームページを制作しても、患者さんに見てもらえなければ意味がありません。
実際に、クリニックのホームページは「ただ存在するだけ」では集患に直結せず、SEOやMEOを組み合わせて初めて効果を発揮します。

  ①SEO対策の重要性

SEO(検索エンジン最適化)は、Googleなどの検索結果で上位に表示されるようにホームページを整える施策です。

  • 検索の多くは「地域名+診療科目」
    例:「渋谷 内科」「横浜 皮膚科」
    これらの検索で上位に表示されることは、新患獲得に直結します。
  • SEOをしていないと他院に埋もれる
    Googleの検索結果で2ページ目以降を見る患者さんはほとんどいません。
    つまり、SEOを行わないと、存在していても“見えない医院” になってしまうのです。
  • 資産として蓄積できる
    広告は出稿をやめれば効果も止まりますが、SEOは記事やコンテンツを積み重ねることで、将来的にも集患効果を発揮し続けます。

  ②MEO対策の重要性

MEO(Map Engine Optimization)は、Googleマップ上での表示順位を上げる施策です。
スマホで「近くの内科」と検索したとき、検索結果の上位に地図と医院リストが表示されます。

  • 地図検索は来院に直結しやすい
    検索した時点で「今すぐ行きたい」と思っている患者さんが多いため、クリック率・来院率が高いのが特徴です。
  • 口コミや写真の充実が評価につながる
    良い口コミや院内写真を掲載することで、患者さんに安心感を与えられます。
  • スマホ世代の患者獲得に有効
    特に若い世代や働き世代は、Googleマップ検索で医院を選ぶ傾向が強いです。

  ③SEOとMEOを組み合わせるメリット

SEOとMEOは、どちらか一方だけでは効果が限定的です。
両方を掛け合わせることで、検索結果と地図検索の両方から集患できる体制を整えることができます。

  • SEOで「〇〇市 内科」で上位表示 → 広範囲から新患を獲得
  • MEOで「近くの内科」で上位表示 → 直近の来院希望者を獲得

この二重の導線を確保することで、安定した集患につながります。

やらないともったいない理由

以上をまとめると、筆者がもったいないと考える理由は以下です。

  • ホームページを作っただけでは「誰も見ない看板」と同じ
  • SEO・MEOをしないと、せっかくの投資が埋もれてしまう
  • 逆に早めに取り組めば、広告費を大幅に節約しながら継続的な集患効果を得られる

HPが良くても見られなければ意味がありません。HPは公開したら終わりではありません。ぜひ公開後も育てる、という視点が結局の費用対効果につながると筆者は考えています。


6. 費用を抑えつつ失敗しないためのポイント

ホームページ制作は「安ければいい」「高ければ安心」という単純なものではありません。限られた予算の中で、いかに集患につながるホームページを作るかが重要です。以下のポイントを押さえると、費用対効果を最大化できます。

  1. 制作プランを段階的に選ぶ
    • 開業初期はテンプレート型で最低限のページを作成
    • 集患が安定してからオリジナルデザインや機能拡張を追加
      → 初期投資を抑えつつ、将来的な拡張性も確保できます。
  2. 写真や文章は自院で準備できる部分を用意する
    • プロに依頼すると費用はかかりますが、スタッフ紹介や日常風景の写真は自院で対応可能です。
    • 院長挨拶や診療方針は、ご自身の言葉で書くと独自性が出やすくSEO的にも有利です。
  3. 医療広告ガイドラインに配慮する
    • 過剰な表現や誤解を招く表現は避け、適切な言葉で情報を発信する必要があります。
    • 制作会社がガイドラインに詳しいかどうかも確認しておくと安心です。
  4. 更新性を重視する
    • WordPressなどCMSを導入し、自院で診療時間やお知らせを更新できるようにしておくと便利です。
    • 更新がしやすいとSEOの評価も高まりやすくなります。
  5. SEO・MEOは最初から意識する
    • 後からSEOを追加しようとすると二度手間になり費用がかさみます。
    • 初期段階から検索対策を組み込むことで、集患効果を早く得られます。

以上を意識し、集患戦略が失敗しないホームページ制作の参考にしてください。


7. まとめ

クリニックのホームページ制作費用は、20万円〜300万円以上と幅広いですが、重要なのは「いくらかけるか」よりも 「投資に見合った集患効果を得られるか」 です。

  • 相場感を理解し、自院に合った制作プランを選ぶ
  • 初期費用だけでなく、運用コストも含めて計画する
  • 開業3か月前からホームページを公開し、SEOを育てておく
  • SEO・MEOを取り入れて、見つけてもらえる仕組みを整える

これらを実践することで、ホームページは単なる情報発信の場ではなく、新患を安定的に獲得するための強力な集患ツールとなります。

クリニック経営においてホームページ制作は「コスト」ではなく「未来への投資」。
計画的に進めることで、開業後のスタートダッシュと長期的な安定経営につながるでしょう。

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